ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

家計を管理する 扶養に入る・外れる

130万以内なのに扶養を外れる?扶養に関する勘違い5選

扶養についての情報は色々と出していますが、やはりとてもややこしいのでご相談が止まりません。
今日はそんな複雑な扶養の制度でよくある勘違いをお伝えします。

まず扶養について話すときは「税金の扶養」と「社会保険の扶養」の違いがわからないと話が始まらないので、そこからなんだかよくわかってない・・・という時はまずこちらの『扶養の壁』という動画を一度ご覧になってから、こちらの記事に戻ってきてくださいね。

この記事のまとめ

◆正社員が扶養に入ることは可能で、特定の条件や収入減のタイミングが影響する。
◆年収が130万円に収まることが必要という考えは誤解で、社会保険の130万円基準は将来の見通しも関係する。
◆起業しても収入が少なければ扶養内に入ることが可能であり、判断は健康保険組合の方針による。
◆子供をどちらの扶養に入れるかは所得控除や医療費の観点から検討すべきで、組合の手当ても考慮する必要がある。

動画で見たい方はこちらからどうぞ▼
注意!扶養のよくある勘違い【5選】-YouTube

勘違い1:正社員は扶養には入れない

そもそも正社員というのに明確な定義があるわけではないですが、一般的には派遣や時給計算されるパートタイムのような働き方ではなく、「雇用期間の定めがなく会社の就業時間の上限までフルで働く人」というイメージで読んでください。

このケースでは会社で社会保険に加入することがほとんどですから、そもそも扶養に入るということを考えたことがないよというケースが多いかもしれません。
確かにフルで働いていてそれなりに収入を得ていれば、そもそも扶養されるということ自体が馴染まないはずですね。

ただし一定の条件で例外があります。
それが正社員でも収入が減るタイミングです。代表的なものが産休・育休中です。
産休・育休中は原則継続して会社の社会保険に入り続けるので、パートナーの社会保険の扶養に入るというケースはあまりありません。

ただ、産休や育休で受け取る給付金はほとんどが税金が非課税なので、税金上の扶養には入れることはあります。
丸々お休みしてる1年だけではなくて、産休に入った年復帰した年などもお給料を受け取ってる月数が少ないと扶養に入れる可能性あります。
収入は(お給料のみだとしたら)年間で約200万円ぐらいが目安です。時短勤務を選択するとこれくらいを下回ることもあるかもしれません。

扶養に入るというと、どうしても妻が夫の扶養に入るケースについてばっかり思い当たるかもしれませんが、最近は少し違ってきています。
育休の制度が柔軟なってくるにつれて、妻が復帰して夫がバトンタッチで育休を取るケースも徐々に増えてきています。
収入や所得の条件を満たせば、もちろん夫が妻の税金上の扶養に入ることもできます。

また産休育休中に限らず、病気やケガで仕事を休んで傷病手当金を受け取っている場合はこの収入も非課税です。
こういったことがある年は大概慌ただしくしているのでつい忘れてしまいがち。

正社員であったとしても、年に一度は夫婦でチェックして、お互いが扶養に入れる可能性がないのかを確認してみてください。

勘違い2:年収が130万円に収まれば扶養でいられる

社会保険の扶養である、いわゆる『130万円の壁』というのも誤解が多いです。
税金の扶養の103万円などは1月から12月までの年間の収入の結果で判断されますが、社会保険の130万円は結果的に収まればいいわけではありません。

社会保険(健康保険)のルールは加入している健康保険が決めているので、細かくは微妙に差がありますが、基本的に”見込み収入が130万円”ということが多いです。
結果ではなくて、この先どうかというのが判断基準になるということです。

ただ先の事ってわからないので、多くの場合は『一カ月の収入が108,334円未満』と決まっています。
この金額には交通費やいわゆる失業手当、育児休業給付金などの、税金の対象とならないものも収入に含んでカウントします。
1回でも超えたら「ハイもうアウト!」いうことはあまりありませんが、判断ポイントが税金の扶養の103万とは違うことに注意が必要です。

逆に、1月以降もうすでに130万円を超えて働いていたとしても、転職や雇用形態の変更などで今の収入がもう毎月10万円に満たない働き方になっているとしたら、扶養に入れる可能性は高いです。ただし同じパートで時間が減っただけのような場合は、契約書でそれが確認できるようにチェックをしたり、3ヶ月連続で基準を下回っている確認をしてから、ということもあります。

会社に106万円の壁がある場合は、月に10万円近く働いたらそもそも自分がパート先で社会保険に加入します。
130万円に抑えたとしても扶養ではいられません。

『年間130万』というのだけ気をつければいいわけではないことに十分注意してください。

勘違い3:起業しても収入が少なければ扶養でいられる

自分の技能などで仕事を始める起業もそうですが、それ以外にも業務委託で仕事をする時扶養には注意が必要です。
103万や130万円の基準は、そもそも給料の収入の場合で表現されています。
起業(事業)の売上や業務委託の収入はそもそも給料ではありませんから、扶養でいるための考え方が違います。

詳しくはこちらの『フリーランスでも扶養でいられる?』という動画をチェックしてみてください。

パート収入ではないフリーランスの扶養については、加入している健康保険によってずいぶん判断が分かれるところです。
起業した時点で原則扶養から外れるという組合もあれば、売上で判断する組合、あるいは最低限の経費は引いていいよというようなところもあります。

仮に同じ売上であったとしても、経費は人それぞれです。そのため、(そもそも情報が少ない上に)ネットで見かける他人の情報があまりあてになりません。
加入している組合が方針やルールを変えることもあるので、パートではない収入を得て、かつ扶養内で働こうと思っていときは必ず前もって自分の状況をよく整理して、加入してる健康保険組合のルールを確認しておいてください。

勘違い4:子供は収入の多い方の扶養に入れる

共働きの場合、子供をどちらの扶養に入れればいいのか?という問題も出てきます。

一般的には多い方に入れるものだと思ってる人が多いかもしれませんが、必ずしもそうする方が有利とは限りません。
この3つのパターンに当てはまる人は必ずしも収入が多い方に入れない方がいいこともあるので、確認してください

住宅ローン控除がある場合

税制の扶養に関して、16歳未満の年少扶養は今もうありませんので、15歳までの子供は税金上の控除を受けることはできません。
16歳以上は控除がありますので、基本的には収入の多い方につけることが多いです。

ただし、例えば夫は住宅ローン控除などで税金はゼロになっていて、妻は税金を払っているという場合、妻が扶養控除を受けることを検討してみるというのも一つです。

複数の子供がいる場合、税金上の扶養は任意に選ぶことができるので、一人分は夫が控除を受けもう1人は妻が控除を受けるということも可能です。
収入だけに着目せずに、納税額を見た上でどうするか試算してみてください。

収入差が少ない正社員夫婦の場合

年収差があまりない正社員の場合、社会保険の扶養をより手厚い健康保険の方につけることを検討してもいいかもしれません。
手厚いとはどういうことかと言うと、例えば医療費が高額になった時の高額療養費制度に着目します。
高額療養費制度自体は公的医療保険の給付なので、どの健康保険でも一緒ですが、組合によってはこれにさらに付加給付がつくことで自己負担が減らせる可能性があります。
これが扶養に入っている家族の医療費にも適用されることがあります。

そもそも健康保険の扶養というのは税金上の扶養と違って、原則収入の多い方に入れてくださいと決まっています。
ただし正社員夫婦で収入差が1割もないような場合では選べるケースもあります。

ちょっと手間ですが自分の加入してる健康保険組合の手当てを調べるきっかけにもなりますので、当てはまりそうだったらちょっとチェックしてみてください。

妻の年収が100から180万ぐらいの方

正社員夫婦でもなくて、妻がパートなどで年収が180万円以下のケースも検討する余地があるかもしれません。

先ほどの16歳未満の子供は控除はないと書きました。つまり16歳未満の子供をどちらにつけても所得控除を受けることはできません。
ただし『住民税が非課税になるかどうか』を判定するときには、この16歳未満の子供をカウントすることになっています。

住民税が非課税になるかどうかの基準は、お住まいの市町村によって微妙に違いがあります。
扶養がゼロの場合、おおよそ100万円ぐらいから住民税がかかり出します。
ただし16歳未満の子供を含めて扶養が1人でもいると、年収150万円ぐらいまでは住民税が非課税になることもあります。

正社員の夫は、扶養が1人いようが2人いようが、そもそも非課税になる可能性は少ないけれど、パート妻の場合は子供をあえて扶養に入れることで、妻自身が住民税非課税になるかもしれませんよね。

ただし注意していただきたいのは、この16歳未満の扶養を含んだ人数で様々な所得制限を計算していたり、給料の扶養手当を計算していたりすることがあります。
妻が非課税になるからといって、安易に夫の扶養から外してしまうと手当などが減ってしまうかもしれません。

各種手当てなどが何に紐付いて計算されているか、チェックしてから決めたいですね。

勘違い5:扶養内だと税金が掛からない

そもそもの話として扶養には色んな基準があり、税制の扶養には年収約201万円までは一部扶養には入れるという決まりがあります。

ただし自分に住民税がかかり出すのは約100万円から。
自分に所得税がかかり出すのは約103万円ぐらいから。
自分が扶養に入っている=自分に税金がかからないわけではないことに注意しておきましょう。

扶養内だから税金は関係ないと思ってると節税できるポイントを見逃しがちです。
扶養に入ることと自分の税金がかかることは別物だと意識しておきましょう。

ナナコ
扶養内にいるにしても扶養を外れにしても『思ってたのと違う!』のが一番残念なので、勘違いしていることがないかぜひ確認してみてください。

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