先日、社会保険の扶養についてこんなご相談がありました。
簡単にまとめると「扶養でいられる130万円というのはどの期間で判断?」ということですね。
扶養を抜けるのは簡単ですが、入るとなるとややこしい。
また、今までは無収入だったけれど、これから働き出すときなども「いくらまで扶養でいられる?」は気になるものです。
今日はこのご質問に答える形で「社会保険の扶養でいられる収入とその判定期間」について考え方をお伝えいたします。
社会保険の扶養とは?
社会保険は会社が所属している健康保険組合が社員にかける保険です。
保険がかけられている社員を「被保険者(ひほけんしゃ)」と言います。つまり会社員の夫が被保険者。扶養に入るその妻のことを「被扶養者(ひ ふようしゃ)」というのです。
この言葉をちょっと覚えておくと、調べるときにスムーズかもしれません。
扶養に入っていると
医療費の7割分を健康保険組合が払ってくれます。また、国民年金にも保険料を払わずに加入することができます。
ですが、扶養に入っている被扶養者は保険料を一切払いません。もちろん被保険者である夫も妻の分の保険料は払いません。夫は自分の分だけ払っているのです。
では妻の分の保険料は?
妻の分は組合が負担しています(というか、組合を通じて被保険者の保険料で間接的にまかなわれているということですね)
だからこそ、だれでも扶養に入れるわけにはいきません。
扶養に入れる人(被扶養者)には基準があるのです。
扶養に入れる基準は組合ごとに決まっている
扶養に入れる基準は、夫の会社が加入している健康保険組合が決めています。
自分がどこに入っているかは保険証にその組合名が書いてあります。
例えば「〇〇健康保険組合」「〇〇共済組合」「全国健康保険組合 〇〇支部」など、大きく3つのパータンがあります。
「全国健康保険組合○○支部」と書いてある方はそれほど大きくない会社が都道府県ごとにあつまって作っている組合で(「協会けんぽ」という分類です)
ほかにも国家公務員や地方公務員、私立学校の先生などは「共済組合」という分類の団体に加入しています。
自分がどこにの組合に所属しているかを確認しておくことはとても大事ですね。
いくつか基準を見てみましょう。
組合ごとにおおむねに通っているので、いくつかの組合の基準をチェックしてみましょう。
なお、パート以外の収入がある人については別のルールがありますのでご注意下さい。
今回はあくまで「給料のみある人」の基準についてみています。
共済組合の扶養の条件
こちらは防衛省共済組合の条件です。
つまり、
- 年単位や年度単位ではない
- 扶養に入ってから、どの12カ月をとっても130万円未満
- パート収入が108,333円を超えるときには扶養になれない
こういうことですね。
健康保険組合の扶養の条件
こちらはトヨタ健康保険組合の扶養の条件です。
- 収入が夫(被保険者)の半分以下
- 月収が108,334円未満
- 年間収入が130万円未満
- 失業給付や出産手当金がある場合は日額上限あり
このような基準になっています。
協会けんぽの扶養の条件
保険証に「全国健康保険組合 〇〇支部」と書いてある、協会けんぽの扶養の条件です。
- 年間収入130万円未満
- 過去の収入は関係ない
- 給与収入の場合、月額108,333円以下
このような基準になっています。
「向こう1年で130万円」ルールが基本
いくつかの組合を見てきましたが、細かい認定の基準は組合によって違い、最終的な判断は健康保険組合が下します。
一番多いルールは
・この先1年間の見込み収入で判断
・見込み収入130万円未満
→つまり月額108,334円未満
という基準で認定されていることがほとんどです。
パートを始めるときに、時給や勤務時間を記載した雇用契約書を結び、交付してもらうようにしましょう。
シフト勤務・時給制などで働く金額に変動がある人は、一か月の収入を108,333円以下に収まるようにしておくのが無難ですね。
この収入には「交通費」も含まれることに注意が必要です。
相談へのご回答
このご相談へのお答えは下記のとおりです。
扶養に入ってからの見込み年収が年間130万円を超えない範囲での働き方でしたら、一般的には扶養で居られる可能性が高いです。
ただし、扶養の認定は健康保険組合が行いますので正確なことは健康保険組合にご確認ください。
なお、パート先が106万円の壁のある会社の時は、130万円以下で夫の扶養をはずれることもありますのでご注意くださいね。
まとめ
社会保険の扶養は「これから先の年収」で判断されるので、以前の正社員だったときの収入は関係がありません。
また1~12月の年や4月~3月などの年度基準では判定されません。
108,334円を一度でも超えると扶養を外されるのか、3か月連続してなどの基準で判断されるのかは、それぞれの健康保険組合の判断によりますので、ギリギリで働く場合は必ず前もって確認しておきましょう。