青色申告は難しくて面倒だ、というイメージがありますか?
起業したての方に青色申告を勧めると二つ返事で「私には無理」と即答されることもよくあります。
ですが、今は便利な会計ソフトやサービスが安価でできますので、税務や会計に関する難しい知識がなくても青色申告をすることはできるのです。
手間や難しさで言うと、雑所得<<<<<<<事業所得=白色申告<青色申告ぐらいのイメージです。
青色申告には多くのメリットがありますので、イメージだけで「無理」と思わず青色申告をするためにやらなければいけないことをチェックしてみましょう。
1:青色申告にするという届け出
事業所得の申告の仕方は2種類あります。
「白色申告」と「青色申告」のどちらかです。
特に何の届け出もせずに開業届を出して事業所得として確定申告する場合は「白色申告で確定申告する」という状態になるのですね。
それに対し、「私は青色申告をします」という届け出を出すと「青色申告で確定申告をする」ことができるようになります。
確定申告の時に書き込む用紙が違いますが、あらかじめ届け出ておかないと青色申告は有効にならないので注意したいですね。
届け出用紙の名前『青色申告承認申請書』
青色申告にしたい場合は、「所得税の青色申告承認申請書」というA4の紙1枚に記載して提出します。
最寄りの税務署に行けば置いてありますし、見当たらなければ係りの人に声をかければ出してもらえます。
その場で何かを聞かれることはありませんので気軽にもらってきて大丈夫です。
また、国税庁のHP([手続名]所得税の青色申告承認申請手続)からPDFでダウンロードすることもできます。
どちらも違いはありませんので手軽な方で入手しましょう。
届け出期限は開業日しだい
青色申告の届け出自体はいつでもできますが、次の確定申告の時に青色申告したければ届け出期限があります。
その基準となるのは、一つは『3/15』もう一つは『開業日から2か月』です。
【原則】3月15日までに届け出れば次回は青色でOK
もともと白色申告している人、すでに開業しているけれど今回は申告義務が無くしなかった人、年明けすぐ(1/15まで)開業した人は、3月15日までに青色申告の届け出を出せば、翌年の確定申告は青色申告ですることができます。
注意してほしいのは「翌年の確定申告」からということです。
今年の3月15日までする確定申告のために出しても、間に合いませんよ。
【例外】開業日から2か月以内
夏や秋に開業という場合は3月15日までに出せと言われても無理ですよね。
そんな場合は開業から2か月以内だったら、その年の青色申告を有効にすることができます。
2か月というのは長いようで、起業スタート時はあっという間です。
開業日を決めたら開業届と一緒に手続きしてしまう方がいいですね。
届け出先は原則「自分の住所地の管轄の税務署」
住所地というのは何もなければ自分の住んでいるところです。
住んでいるところと住民票が違うとか、自宅とオープンする店舗が違うなどがない限りは住んでいるところを管轄している税務署に書類を提出します。
たくさん税務署が密集している場合は一番近い税務署と実際の管轄が違ったりしますし、税務署がほとんどない地域はかなり広くをまとめて一つの税務署だったりもします。間違えて提出してしまわないように、一度は確認しておきましょう。
2:取引の証拠を取っておく
事業に関して起こった取引の記録は7年間保管しておく義務があります。
取引の記録となるものは、領収書・レシートや請求書、通帳などですね。
税務署に提出する物はほとんどありませんが、証拠として必ず保管しておきましょう。
とっておき方は特に決まったルールはありませんが、それをもとに帳簿を作成しますので、自分でわかりやすく手間の少ない方法で管理するようにしましょう。
またプライベートのレシートやポイント明細などの関係ないものが混ざっていると、途端に整理しにくくなりますので、関係のないものが混ざりこまないように気を付けておきたいところです。
3:発生主義で複式簿記で記録しておく
一番ハードルが高いのは、この部分ではないでしょうか。
発生主義というのは、お金が動いたかどうかにかかわらず取引が確定したときに記録するルールのことです。
お金をもらって商品を渡すというように、同時に行われる場合はそれほど複雑ではありませんが、先に商品やサービスを提供いして後からお金をもらう場合などは、確定するタイミングがずれてきますね。
また、複式簿記というのは「正規の簿記」といわれ、一つの取引に対して「原因・結果」などどちらも記入することを言います。
今はこの簿記がわからなくても、会計ソフトを使用することで簡単に複式簿記を行うことができます。
白色申告でも書類の保存と記録は必要
青色申告はあれこれやらなければやらないけれど、白色なら何もしなくていいから簡単だという人に出会うことがよくありますが、それは違います。
白色申告であっても書類は保存しなければなりませんし、法定書類は作っておかなければなりません。
そもそも手書きですること自体があまり合理的ではありませんから、パソコンが使える方はほとんどが会計ソフトを便利に使ってしまえばいいのです。
どうせソフトで記録をつけるのなら、白色も青色も手間はほとんど変わりません。
面倒くさそうという理由で白色にしているとしたら、そもそも「事業所得」としてやらなければいけないことができていないのかもしれません。
まとめ
常に新しいことを考えコツコツと行っていかなければいけない経営そのものと違い、確定申告は基本的に同じことの繰り返しです。
自分の事業の経営ですから面倒くさいという考えはやめて、取引の規模が小さく、自分で流れをつかみやすい起業初期こそ青色申告にできるといいですね。