これ以上夫婦としてやっていくのは難しいから離婚したい!
でも、家を買う時にはこんなことになるなんて思っていなかったからまだ住宅ローンが残っている。こんな状態では離婚するのはムリだよね?
そんなお悩みを持っている方もいます。
記事では、住宅ローンを抱えた持ち家の夫婦が離婚を考える際のチェックポイントについて解説していきます。
離婚は精神的・金銭的に困難であり、特に住宅ローンが絡むとさらに複雑になります。
この記事のまとめ
ライフプランの重要性:離婚後の生活費や子供の教育費を考慮し、名義変更やローンの引き受けが可能かを事前に確認することが必要。
借り換えのチェックポイント:現在の銀行での借り換え可能性や、妻の収入状況を確認することが重要で、特に健康状態が影響する場合もあるため注意が必要。
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どんなケースでも、離婚するのは精神的にも金銭的にも大変なことが多いです。
そこに住宅ローンが絡んでくると、さらに難しくなることが多いです。
今日は、持ち家の住宅ローンがある時の離婚について確認してみましょう。
住宅ローンがあっても問題ないケース・大変なケース
そもそも持ち家だとしても、離婚をする時にその家が売却できてローンを完済して、それぞれが別のところに出ていくんだったら、少なくとも住居のことに関してはさほど難しくはありません。
また、売却してローンが多少残ってしまっても、それを返すことができる資産があれば何とかなります。
問題は売却してもローンが残って、それを返済する十分な資産がないケースです。
その場合は、ローンがある状態で離婚の手続きを進めていかないといけません。
かなり難易度が高いので、ローンがあるから離婚は無理だよね、と諦めて我慢を続けている人もいるかもしれません。
どんなところをチェックすれば可能性があるのかを整理していきましょう。
ローンの名義人が家を出ていくケース
住まいというのは、金銭的にも精神的にも生活の大きな部分を占めているので、出ていったり手放すというのも簡単なことではありません。
特に子供がいる場合、学校への通学ということもありますし、親の離婚という大きな出来事がある中で暮らす場所が変わるというのは、子供にとっても大きなストレスになりかねません。
そのため、「妻と子供が今の家に住み続けて、夫が出ていく」という形を取りたいと考えることもあると思います。
問題は、家の名義とかローンが妻のものではない場合です。

と思うかもしれませんが、それではゆくゆく大きなトラブルに発展する可能性があります。
例えば、住宅の名義も住宅ローンも全部夫のケースは多いです。
『自分が払い続けるからそのまま住んでていいよ』という一見優しく感じるかもしれませんが、そもそも住宅ローンは「自分が住むための家のローン」というのが原則です。本人が住んでいないんだったら、「住宅ローン」としては借りることができません。
時々「住宅ローンを借りてそれを賃貸に出した」というのが金融機関に伝わってトラブルになるというケースを見かけますが、それと同じことです。
発覚すると一括でローンの返済を求められるなんてことも起こりかねません。
仮に金融機関に伝わらなかったとしても、出ていった夫がずっと払い続けてくれるとも限りません。
もちろん当初はちゃんとやってくれていたとしても、夫がその後、転職などで収入が減ったり、病気や怪我で収入が途絶えてローンが払えなくなった場合、家が差し押さえられてしまうかもしれません。
また、離婚後に元夫が新しいパートナーができた場合など、次の家のローンを組みたくなった時もトラブルになりがちです。
共有名義の家に妻のみが住む場合であっても、夫の支払いが滞ったら妻に責任というのが降りかかってきますし、名義も変更しないまま住み続けていると、いつかその家を売却するようなことになった時に夫の承認が必要になってしまいます。
登記などでトラブルになることも想像に難くありません。
持ち家離婚をする前のチェックポイント
住宅は、住む人の名義で住む人のローンにしておくというのが大切です。
では、そうするためにはどんなことを確認しておけばいいでしょうか。
1:ライフプランをしっかり立てる
まず1つ目は、何はなくともライフプラン(=今後の生活設計)です。
住宅の名義もそうですが、仮に名義変更をしてローンを引き受けたとしても、住宅費用を自分が払いながら生活が成り立つかをよく考えていかなくてはいけません。
子供がいれば子供の生活や教育の費用も考えていく必要がありますし、水道光熱費も、被服費も、食料品も必要です。
養育費もらえると思うかもしれませんが、それはあくまで子供の養育のためのお金ですから、自分のための生活までずっと見てもらえるわけではありません。また、養育費というのは、なかなか払い続けてもらうというのが厳しいのが現状なので、そこに関しては公正証書とかを取り交わすなど、しっかり取り決めを行いましょう。
2:ローンを自分名義に借り換えできるか確認する
2つ目は、ローンの変更、つまり借り換えができるかです。
どんなに借り換えた後のライフプランが大丈夫そうだなとなったところで、住宅ローンを変えられなくては意味がありません。
そのためにも、まず住宅の現状をしっかり確認しましょう。
住宅の名義は誰か、夫単独なのか、夫婦で共有しているのか、あるいは土地は夫の親のものだった、ということもあります。
ローンの現状確認も同様です。
単独で組んでいるのか、ペアローンなのか、連帯債務なのか、連帯保証なのか、色々違いがあります。
借りた時のことをよく覚えていなくて、金額と返済方法以外はなんとなく言われるがままに契約している、なんていうご夫婦も実は結構います。
不動産の登記簿謄本を取ったり、住宅購入時の契約書などをよく確認しましょう。
例えば、いま全部夫がローンを組んでいるんだとしたら、離婚して夫が出ていく場合は「妻が銀行からローンを借りて、そのお金で夫のローンを返済して、妻全部の名義にする」ということになります。
今が妻と夫の半分だとなっているとしたら、夫の分を妻が借りて、妻に一本化することになりますね。
実際の借り換え手続きを行うというのは離婚後になりますが、そもそも借りられるかを先に確認しておくというのが大切です。
借りられるならネット銀行は金利が安いからいいな、と言ったところで、審査も通らないようではそもそも話が始まりません。
ネット銀行など、オンラインでいくつかの条件を入れて審査するようなものは、機械的に「仮審査オッケー」と出たとしても、本審査ではやっぱりダメで借りられない、なんてことも起こり得ます。
金利より何より、確実に借り換えできるのかということを優先していきましょう。
では、そんな借り換えをする時のチェックポイントです。
今の銀行で借り換えできるか?
まず1つ目は、今の銀行で借り換えできないか確認です。
今借りている銀行でローンの借り換えをして、住宅の名義を変えるんだったら、それが一番シンプルです。
住宅の名義を変える時は、夫婦間で贈与で手続きするのか、それとも夫婦で売買をする手続きなのかというのもきちんと確認が大切です。
贈与の場合は、住宅をあげる代わりにローンの返済もついてくるという「負担付き贈与」という形になります。
贈与税などが発生しないか、固定資産税の明細などを持って税務署に相談に行くのが安心です。
売買をする場合は、その後の住宅ローン控除というのが使える可能性があります。
ただし、売買の契約書を作る必要があるので、こちらも専門家に相談しましょう。
現在の銀行で借り換えができない場合
現在の銀行で借り換えができない場合は、別の銀行で妻が住宅ローンを借りて、夫の銀行のローンを返済する形になります。
離婚しなくても、金利を下げるためなので別の金融機関に借り換えるなんてこともありますが、そんなイメージです。
住宅ローンは、住宅を担保に入れて抵当権というものを設定しています。
(いざという時に差し押さえできる権利を銀行が持っているということ)
借り換える時にはその権利も移し替えが必要になるので、抵当権を変える書類が間に合うかというスケジュール確認ももすごく大事になってきます。
(今の銀行と次の銀行でタイミングが合わないところは借り換えできない)
そもそも妻が借り入れできるか
そしてとても大切なのは、そもそも妻の働き方とか収入で借りられるのかという点です。
名義変更といっても、実際には妻がローンを借りて夫の分を返済することになるので、妻の名義のローンにするということです。
住宅購入時にローンを組むのと同じように、勤続年数や勤務形態、収入などによっては借りられないということもあり得ます。
パートタイム勤務だとかなり厳しいですし、正社員だったとしても、入社したばかりだったり、年収がすごく低かったりすると借りられないということも起こります。パートであるならば、正社員を目指すとか、収入を増やせるようにするなど、早めに検討が必要になってくるかもしれません。
もし預金など資産がある場合は、繰り上げ返済をして残債を減らしておくとか、親に援助を頼めないかというのを検討することもあるかもしれません。
あるいは、審査する時の金利が高くない金融機関を探すなどの対策も考えられます。
3:団信に加入できるか
住宅ローンを借りる時は、基本的に団体信用生命保険の加入も条件になってきます。
離婚というのは簡単なことではないので、それを考えている間に悩んでしまって体を壊したり、心に大きな負担がかかっているということも少なくないと思います。
病院に通院して治療していたり、あるいは離婚を有利に進めるために診断書を取ったりしていると、団信に加入する時に不利に働くというケースもあります。
ただでさえ離婚での借り換えは厳しい状態なので、条件が緩めな団信がある金融機関という風に探そうとすると、さらに厳しくなるということも考えられます。
持ち家離婚というのは、特に健康面でも留意しておくということが大切です。
持ち家離婚は計画と準備が肝心
家があろうとなかろうと、一度夫婦になった人と離婚するというのは、精神的にも手続き的にも大変な労力が伴います。
さらに特に持ち家がある場合は、一筋縄ではいかないということも多いと思います。
でも、離婚前より幸せになるためにその選択をしようと思っているんだったら、ぜひ専門家を頼りつつ知識を身につけて、しっかりと準備をして新しい人生というのを踏み出していただければと思います。
