ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

家計相談

夫がお金を勝手に使っていたのが、通帳とカードを預かることができた!【KM様/家計見直し面談実例】

家計見直し6回コースで「夫婦別会計」「貯金0」「なんとかなるけど貯金できない」「夫が貯めているはずのお金が貯まっていなかった」から脱却するために面談を重ねてきたKM様。

家計を一緒にして見えるようにしていきたいと思いは合ったものの、ご主人が把握している部分と自分が管理している部分の切り分けがうまくいかず、個人のお小遣い・家計費・夫が立て替えている会社の経費などが混ざり合ってしまっていました。そのためにどこを削ればよいのか何を改善すればいいかが見にくく、ずっとうまくいかない状態だったのです。

手順を追って家計を見直ししていくなかで、節約しなくても家計がスッキリする大きな成果がありました。

家計見直し前の問題点

頭を抱える女性

共働きのためにそれぞれ費目をなんとなく担当していても、お金が無くなる・生活に困るということはありませんでした。
夫と給料日も違うために「家計を一つにする」流れがうまくいかず、KM様もご主人にその必要性を説明できずにいました。

家計見直しの前の問題点は

  • 家計全体の支出がわからない
  • 夫が何のためかわからないお金を給与口座から引き出す
  • 給与口座から引き落とされるカードの明細を教えてもらえない
  • いくら貯金したらいいかわからない
  • どうやって家計を一つにしたらいいかわからない
  • カードの枚数が多く把握しきれない
  • 使途不明金が10万円以上

などがありました。

一番ボトルネックとなっていたのは「夫が家計管理に協力的ではない」ことでした。
給与口座から毎月15万円近くカードの利用料が引き落とされるのにも関わらず、何に使ったのかわからない状態が続いていたのです。

夫に変えて欲しいならまずやっておくこととは

家計を一つにして貯めていこうという相談者様の気持ちは夫にも伝えていましたが、長らく努力はしたものうまくいかないという状況が続いていたためご主人は「いまさら無理」「できないと思う」というスタンスだったようです。

決して否定的ではありませんでしたが「必要性がわからない」という感じで、ご主人から動いてくれる状況ではありませんでした。

ですが、それでいいのです。
大事なのは、まずご相談者様ができることをやりながらその姿を見せていくこと。

明細はわからないものの、通帳などはすべて見ることができたため、

  1. 財産の把握
  2. お金の流れのチェック
  3. 自分が把握できる支出の洗い出し
  4. 家計の管理の方向性の話し合い
  5. 貯蓄の目標

という手順で家計の整理を着手しました。

その中で、ご提供しているワークに書き込みを続け、面談の中で自分が納得・共感したことはご主人にも伝えて話し合いを続けていきました。

細かく詮索されたくない夫、全体を把握したい妻の攻防

背中を向ける男女

ご主人様は、もともとそれほど浪費をしているわけではないことは収入や一緒に暮らす生活の中でわかっていました。
しかし会社の経費の立て替えなどもあり、とにかくお金の流れが「不透明」でした。

ご主人様としては、
「個人的に使い込んでるわけではないのに根掘り葉掘り聞かれたくない」
「なるべくカード払いにしてポイントをたくさん貯めたい」

ご相談者様は、
「使うのを減らしてほしいのではなく、家計でいくらかかっているか知りたい」
「ポイントより現金預金を貯めていきたい」

 

一時話し合いは平行線かと思われましたが、繰り返し話を重ねていく中で「カードの引き落とし口座を夫個人の(お小遣いの)口座に変える。家計費をそのカードで払った場合は、家計から渡す」という流れになりました。

率先してご相談者様がお小遣い制にして、家計が見える化していくにつれてご主人にも実感が出てきたようです。

今まで自分のタイミングでなんとなく引き出していた給与口座の通帳もカードも、家計側で預かることができたのです。

家計は一気に流れが明確になりました。

通帳を取り上げるのではなく「預かる」

教育資金や今後の生活のことを考えると、支出を整理してお金を貯めていかなければならないことは明確でした。
ボーナスもそれほど比率の高いわけではないため、日々のお金で貯めていく流れにすることが急務であり、それは夫婦の共通認識としてできていたのです。

 

家計の管理に手を付けると、どうしても成果を焦りがちです。
自分が行動すればするほど、相手が「やってくれない」と感じてしまうこともあります。

そうなると、どうしても相手の気持ちを置き去りに「協力するって言ったよね」と無理矢理進めてしまうことがあるのです。
そのちょっとした”無理”は夫婦の信頼関係にどこかで影を落としかねません。

 

今回のKMさまは、もちろん焦りもありましたがそれを押さえて、

  • まずは自分ができることをする
  • 率先してお金と向き合い行動を変える
  • 相手に要求する前に自分がお小遣い制を守る

ということをしました。

その結果、無理をすることなくご主人から通帳もカードも「預けて」くれたのです。

ナナコ
本人の素晴らしい努力が家族を動かしたのですね!

 

スカイプでの面談風景

 

ママスマ・マネーの家計相談は、
「お金が貯まればいい」
ではありません。

家族がお互いに信頼感を持ち、二人で同じ方向を向いてお金を「使っていく」
そのために今何ができるかを考えて、家計と向き合っていく相談です。

 

流れが一気に整ったKM様の家計。
ここからは無理に相談を繰り返すのではなくひと月ごとに実際に家計を回してみて、今度は無理のないように内容を整える方向にシフトしていきます。

これからどんどん貯まっていくとしか思えない状況。今後が楽しみです。

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