産休・育休中のママさんへ
 ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

年末調整

【令和5年版】産休・育休中の年末調整は必要?確認と手続き方法

ご出産の大仕事、お疲れ様でした。
出産からの育児突入で大変な中、こちらへたどり着いていただいて感謝感激でございます。

年末調整の時期ですが、会社から連絡はありましたか?
一度休みに入ってしまうと、なかなか社内の様子を知ることができなくてなんとなく不安になりますよね。お金のことなので同僚にあれこれ聞いてもらうわけにもいかないし・・・。

とはいえ大事なお金のことですので、どうなるかわからない場合はこちらからアクションを起こしましょう。

この記事では、産休・育休で会社を一時離れて年末調整の時期に出社していないときにどうしたらいいかを確認していきましょう。

まず自分の今年の給料を確認しましょう

今年のいつごろ産休に入ったでしょうか?そこまでの「給料」を合計したらおいくらでしたか?
この給料の計算期間は「1月1日~12月31日」の間の分で計算します。

ちなみに「振込金額」ではありません。
お給料は色々なものが差し引かれて振り込まれたり渡されたりしますので、振込額が給料の額ではないのです。給与明細などをみてしっかりと確認してください。

手当などは含みますが交通費は除きます。「課税支給額」と書かれていればその数字を見るのが確実です。書かれていないときは「非課税の支給」がないだけかもしれないので、その場合は「総支給額」です。差引支給額(口座への振込額)の合計でないことに注意しましょう。
年内にボーナスが支給されていればその金額も足していきます。

 

出産育児一時金(病院に直接払われるもの)ですとか、健康保険から支払われる「出産手当金」、ハローワークから支払われる「育児休業給付金」については非課税ですので今回は計算する必要はありません。もらいっぱなしでOKです。つわりなどで早めにお休みに入り「傷病手当金」を受け取っていても同様に非課税です。

ナナコ
ここからはこの1年で受け取った「給与+ボーナス」の金額別にどうすべきか確認していきましょう!

■年間合計が103万円以下

1~12月の給料+ボーナスの合計が103万円以下なら、本来は所得税を払う必要はありません。
もし給料で差し引かれている税金(源泉所得税)があったのなら、あなたの先払いしたその源泉所得税は全部戻ってきます。
産休・育休に入っている自分の会社で例年通り年末調整を行い税金の清算をしてもらいましょう。

さらに平令和5年:2023年分は夫の扶養(配偶者控除)に入りましょう

書き方はこちらです→配偶者控除等申告書の書き方

ただし、夫の収入によっては扶養に入っても税金が安くならない可能性があります。夫の年収が1000万円あたりから上の場合は注意してください。

■年間合計が103万円以上150万円以下

自分の会社で年末調整は例年通り行ってもらいましょう。
自分は所得税や(来年)住民税がかかる可能性がありますが、150万円までは配偶者控除(103万円以下の人)と同じだけの控除が受けられます。
(103万円の場合と同じく夫の収入に所得制限があります)

自分の会社で年末調整をしてもらい、かつ↑の103万円以下の場合と同じく、夫がもらってくる「配偶者控除等申告書」に記入し夫の扶養に入りましょう。

 

■年間合計が150万円以上201万円以下

自分の会社で年末調整は例年通り行ってもらいましょう。
令和5年1月1日~12月31日の間の給与やボーナスの額を計算して税金が決まります。

令和5年は夫の年末調整で配偶者特別控除を受けましょう。
(一部扶養に入る、というイメージです)

夫の所得と自分の所得によって受けられる控除額が違ってきますので、自分の見込みをなるべく正確に算出しましょう。
収入から所得を出すためには「収入-給与所得控除」の計算が必要です。

給与所得控除は決められた表があるのでそれに当てはめて計算しましょう。
(計算するのが難しい場合は(所得ではなく)収入であることを明確にして夫の会社に伝えれば大丈夫です)

150万円までの場合と同じく、夫の年末調整の配偶者控除等申告書を記載して夫の会社に出しましょう。

■年間合計が201万円を超えている場合

正社員で年の後半などから産休に入り、年間の収入合計が201万円を超えているのなら、令和5年は夫の扶養には入れません
自分の年末調整は会社にしてもらいましょう。

いずれの場合も大事なのは令和5年中にどうかということです。

うっかり復帰後(令和6年)のことを予想せずに、令和6年の用紙に『扶養に入る』内容を書いてしまわないように気を付けてくださいね。

扶養に入るのは「いつ」の年ですか?用紙の「年」は要確認!!
(ほとんどの会社が、令和5年の年末調整では令和6年分の用紙を渡してきていますよ)

自分は産休育休中でお休み中でも、年末に在籍しているので通常は年末調整は行われます。用紙などの手配がない場合は会社に連絡してみてくださいね。

 

共働きだとうっかり、ということが多いです

うっかりと笑う女の子

ずっと共働きだとそもそも「扶養に入る」という概念がすっぽ抜けてしまうことは共働きあるあるの一つですね!

健康保険と税金の扶養は違いますので、育休中・産休中であっても通常は「健康保険の扶養(被扶養者)」にはなりません。(自分の会社で加入しつづけているので、夫の方に二重加入することはできないからです)

ナナコ
逆を言えば「社会保険の扶養」に入っていなくても、「税金の扶養」には入れるということです

今後、働き方を考えるときのために、扶養について知っておくのも大事ですね。

いくらまで働けるか知りたいとき▼
扶養を外れたときにどうなるかケーススタディ付き

もらっていても、税金はかからないお金

出産育児一時金
出産手当金
育児休業給付金

この辺のお金給料とは違いますので、税金上の扶養に入れるかどうかの金額を見る時はノーカウントで大丈夫です。

出産育児一時金と出産手当金は、自分の健康保険組合(保険証発行しているところ)からもらい、育児休業給付金はハローワーク(雇用保険)からもらいます。どちらも所得税・住民税は「非課税」です。

また、「出産祝い金」のようなものを会社から受け取った場合も、会社で一律で金額が決められているなど「これはおかしい」といわれるような高額ではない場合は基本的にノーカウントです。

源泉徴収票を確認。夫の年末調整に間に合わなければ夫名義で確定申告

自分の正確な収入が分からない場合は、源泉徴収票で確認してください。

左上の赤枠のところが「年間の収入合計」です。扶養に入れるかどうかも(給与のみ収入の場合)ここの金額で見ます。(103万とか150万とかね)
(※正確には所得で判断しますが、給与のみの人は収入で所得が決まっています)

令和4年中は復帰しないことが分かっている場合、自分で源泉徴収票が出るより夫の会社の年末調整の締め切りが早い場合。かつ、扶養に入れるか微妙な場合などは、自分の会社に「扶養に入れるか確認したいので、賃金台帳等をコピーしてもらえないか」と頼むともらえるケースもあります。

とはいえ、なかなかそれも言い出しにくいこともあると思います。自分の源泉徴収票の発行を待っていたら、夫の年末調整の締め切りに合わない場合は年が明けてから、夫の分の確定申告でやっても大丈夫です。

見込みで出していたけれど、結果が変わってしまった場合も確定申告をします。(1月中なら年末調整のやり直しを夫の会社にお願いすることもできます)

産休中・育児休業中の社会保険料は免除となっておりますので、払っていることはないと思います。(まれに会社が知らないケースもありますが)
保活やつわり等で「休職」状態の場合は、社会保険料は発生している可能性があります。
社会保険料の払いだけあって給料がない場合は、休職中に払った社会保険料は夫のほうから引ける場合もありますので要チェックです。

自分が年末調整されているかわからない場合

自分が年末調整されているのかいないのか、よくわからない・・・というご相談もあります。そんな場合も源泉徴収票を確認してみましょう。源泉徴収票は会社に発行義務がありますので、発行をお願いして問題ありません。

年末調整されている場合は、下記の青で囲った「給与所得控除後の金額」と「所得控除の額の合計額」に数字が入っています。

こちらに記入がない場合は年末調整されていません。(一番右の「源泉徴収税額」は年末調整されていなくても、給与天引きでひかれていれば記入されていることもあります。年末調整された結果「0」と記載されていることがありますので、年末調整されたかどうかの判断には使えません)

産休・育休中で年末調整されていなかったら

年末調整は会社に所属している限り通常は会社がするものですが、小さな会社だったりするとしてくれなかったりすることも現実問題はあります。
そんな時は何としても会社にしてもらおうとするよりは、自分で確定申告をしてしまった方が心穏やかかもしれません(笑)

年末調整されていなくても特に税金に変わりがない場合はそのままでも構いませんが、本来還付してもらえるものがあるのだったら、みすみす逃すわけにはいきません。

いくら還付されるのかを自分で計算するのはなかなか面倒ですので、そんなときはぜひ国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用してみてください。産後の忙しい時期に、わざわざ税務署に向かわずとも、スマートフォンで作成することができます。料金も発生しませんし、登録も不要ですので、試しに源泉徴収票を手元に入力してみると、いくらぐらい還付になるのかがわかります。

 

産休中・育休中だからこそお金について向き合いましょう

子育て中で夜もろくに眠れない毎日をお過ごしで、それどころじゃないかもしれません。
税金の還付を受けるだけの確定申告なら急いでしなくても大丈夫なので、情報収集だけしておいてくださいね。
できることは夫に動いてもらった方がいいですよ。夫婦二人に関わるお金のことですから。

少し生活が落ち着いてきたら、自分の税金がどうやって計算されて、いくらぐらい払うことになるのかぐらいは本来知っていた方がいいですね。
とはいってもなかなかそれだけを学ぶところはありません。ぜひそんな勉強や知識を仕入れるためにも、金融機関等に属さないFPを使っていただきたいところです。

育休中や産休中は、「いままで当たり前だったお金の流れ」が大きく変わるタイミングでもあります。目に見える給料以外にもたくさんの制度に関わっていることを実感する時期でもあります。家族が増えた今、これからのお金について考えるのにはとてもいいタイミングです。

今後、もし働き方について考えるような時期が来たときに、お金の知識があり・家計が整っている状態で物事を考えましょう。むやみな収入減の不安により「やめられない」「かえられない」ではなく、お金に支配されない選択ができるようになりたいですね。

ナナコ
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