ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

所得税・住民税

副業バイトをするときの注意点!会社バレ以外のデメリットをFPが解説!

2018年に厚生労働省から副業を原則として禁止しないようなお達しが出て以来、副業解禁の流れに向かっています。そうでなくても「副業したい」と考える人は増えているのではないでしょうか?

本業の会社以外に副業でアルバイトをする場合、みなさんが一番気にしている「会社バレ」以外にもデメリットはあります。
会社から許可されていたとしても、副業をするうえで知っておきたい注意点を解説いたします。

副業アルバイトがある場合の手続き

会社からもらう給料は「給与所得」アルバイト先からもらう給料も「給与所得」です。

どちらの給料も合算して所得税や住民税を計算するというルールになっています。

本業の会社も副業の会社も、それぞれあなたがいくら働いたかは自分の会社の分しか知りません。そのため2か所以上で給料をもらっている場合は原則として「自分で確定申告」する必要があるのです。サブの給料が年間で20万円以下の場合などは確定申告不要のケースもありますが、その場合でも住民税の申告は必要ですので注意しましょう。

そのうえで、本業の会社と副業のバイト先への手続きを見てみましょう。

本業の勤め先の手続き

副業・兼業の許可を取ることは言うまでもありません。就業規則を確認したうえで適切な手続きを行いましょう。

税金の面では、本業だけの人と変わらない手続きをします。
会社で年末調整をするために「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出しましょう。
年末調整が終わったら、年末調整済みの『源泉徴収票』をもらいます。

副業した翌年の住民税は、原則として本業の住民税と合わせて本業の給料から天引きします。給料以外の収入の場合は自分で納付することもできますが、給料の場合は基本的に合算されます。(自治体によっては自分で納付を受け付けてくれることもあります)

副業のバイト先への手続き

こちらも他で働いているところがあり、そちらが本業でバイトが副業である旨を伝えましょう。

副業のバイト先では年末調整はできませんので、給給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は提出しません。
毎月のお給料から引かれる税金は、副業先は「乙欄(おつらん)」という種類で計算されて天引きされます。給料の金額の割には多く引かれますので覚えておきましょう。

年末調整はされませんが、必ず『源泉徴収票』をもらいます。コンビニなどで少しの時間しか働いていない場合、黙っていると交付してもらえないケースもあります(本来はルール違反です)。1月中に交付されない場合は必ず自分で申し出て受け取ってください。

本業・副業バイトの源泉徴収票をあわせて確定申告

2枚の源泉徴収票がそろったら、3月15日までに自分の住所を管轄する税務署で確定申告を行います。

国税庁のウェブサイトで作成して郵送・電子申告することもできますので、平日に休みがなくとも確定申告は可能です。期日までに必ず確定申告を行いましょう。

なお、副業バイトの方でしっかりと「こちらのバイトが副業です」と伝えてあり、かつサブである「乙欄」で税金が天引きされている場合は、確定申告の時に税金を追加納税する可能性は低いです(0とは言えません)もしメインと同じように税金が天引きされてしまっている場合、確定申告の時に追加で税金を納める可能性があります。脱税にならないようにしっかりと管理しましょう。

副業と雇用保険・社会保険


本業がフルタイムで副業がちょっとだけ、という場合はあまり関係ないですが、副業もそれなりの時間になってくる場合や、派遣社員×アルバイトなどで、「主・副」の差が少なくなっている場合などは雇用保険・社会保険の取り扱いについても注意してください。

2か所で働く場合の「雇用保険」

一週間の労働時間が20時間を超えると、雇用保険に加入する話が出ます。ただし、雇用保険は一か所でしか加入することができません。2か所以上で働いている場合は「給与の多い方」で加入することになっています。

2か所で働く場合の「社会保険」

社会保険は原則として正社員の3/4の日数時間を働いた場合に加入しなければなりません。副業でこれを超える働き方をする場合はそれほど多くはありませんが、501人以上社員のいるような大きな会社では、月の雇用契約金額が8・8万円を超えるなどの一定の要件で社会保険の加入義務が発生します。

2か所とも加入要件を満たしたら両方で加入しなければいけません。保険料の計算は「両方の給料の合算」となります。合算して計算した社会保険料をそれぞれの給料の比率で分けて払うことになります。

どちらをメインの計算にするかを会社に申し出る必要がありますので、気を付けておきましょう。

会社バレ以外の副業のデメリット

会社が副業を許可しているのなら副業はメリットばかりなのかといえば、そんなことはありません。デメリットもあらかじめ踏まえておきましょう。

副業のデメリット1:税金・社会保険の管理は自己責任で

日本の場合は、一か所の会社で働く場合は税金や社会保険のことをほとんど知らずとも困らずに暮らせることがほとんどです。しかし、上記手続きで見てきたように、副業の場合は確定申告をはじめとする税金の管理や、両方をまたにかけた社会保険や雇用保険のことは自分で把握して申し出なければなりません。

気づかぬうちにルール違反をしたり、自分が損することのないように知識を持っておく必要があります。

副業のデメリット2:残業代の問題から副業でのバイトを嫌がられる

一日の法定労働時間は法律で決まっています(原則8時間)それを超えて働いた場合は残業代として割増賃金が発生します。
実は、2か所で働いていた場合もこの労働時間は合算して計算して計算することになっているのです。

◆労働基準法
第38条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。(時間計算)

とはいえ、例えば本業で8時間働いた後、副業先で2時間働いた場合、まさか副業先に「すでに8時間別のところで働いてきたので、ここの分は残業として割増して給料をください」とは言えませんよね。

このような理由もあり、副業の方の会社が副業だと知れると雇うのを嫌がることもあることを覚えておきましょう。

副業のデメリット3:万が一の場合の補償が少なくなる可能性も

そして何より知っておいていただきたいのは「責任の所在」についてです。

副業にしろ本業にしろ、社員であれバイトであれ人を雇った場合は会社は労災をかけることになっています。労災は通勤の時間も対象となります。「どちらの管理下で起きた事故か」というのがとても重要になるということです。

 

例えば、本業で20万円・副業で5万円稼いでいるとしましょう。
不幸なことに、副業に向かっている途中で事故に遭い労災の対象になりました。しばらく働けなくなった場合は労災の休業補償を受け取ることができますが、その計算となるのは「副業の5万」に対してのみです。

副業にいけないということは、同時に本業にもいけなくなる可能性もあります。しかし、本業の分は補償されないのです。収入を増やしたくて副業を行ったのに、万が一の場合に補償も受けられなくなる可能性もあるのです。

副業のデメリット4:万が一の場合の原因の所在がはっきりしない

本業のほかに副業を持つということは、労働時間が長くなることは容易に相談できます。休日が減るかもしれません。
過労により病気になった場合、本業・副業のどちらに原因があるでしょうか。
はっきりしませんね。

複数事業所で働いている場合は、原因がどちらにあるかはっきりさせることができないため労災の認定が難しくなります。

まだ法整備が追い付かない現状、しっかりと自己管理をして副業を!

2018年は「副業元年」などとも呼ばれ、副業を容認する流れになってきてはいますが、いまだ法整備は追いついていないのが現状です。

副業をすることで、

  • 収入増
  • 収入の柱が一つしかないというリスクの軽減
  • 知見が広がり本業のパフォーマンスが上がる
  • 転職への下準備ができる
  • 一社に頼らないキャリアの実現

など、良い面もたくさんあります。

とはいえ、まだまだ副業を望ましくないと考える企業の多さや、法令の整備が追い付いていないこと考えると、十分に自己管理の上で行う必要があることは確かです。

会社が容認していれば問題ない、ではなく副業によって自分が負うリスクについてもあらかじめ知ったうえで、副業のメリットを生かしていただきたいと思います。

税金は税務署・社会保険は年金事務所・雇用保険はハローワーク・・・・それぞれ担当分野が違いますので、そのあたりも全容の理解が難しくなる原因です。
横に幅広い知識を必要とする場合は、ファイナンシャルプランナーに相談するのも一つかもしれませんね。

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