ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

扶養に入る・外れる

【扶養を外れて損した?得した?】3人が手取り以外に得た事例紹介

年収の壁の話題が大きく取り上げられ「扶養で働くってどういうこと?」「扶養を抜けるとどうなるの?」「制度が変わったら自分はどうしたらいいの?」と、より具体的に考える機会が増えたかもしれません。

ずっと前から働き方とか扶養に関する相談をたくさん受けてきましたが、制度の改正などが検討される度に、「自分はどんな働き方がいいんだろう」と悩む人からのご相談というのが年々増えてきています

私のYoutubeチャンネルでは、年収の壁、扶養の壁についての制度の解説や、超えたらどんなことが起こるのかというのを色々ご紹介しています。
動画へのコメントでも、動画をきっかけに扶養を外れることにしたというお声や、まだ迷ってるというお声も頂いています。

どうするべきかというのは、それぞれの置かれている状況によって違いますし、どの働き方が正解だって決まってるわけではありません。
なので余計に悩んでしまうのかもしれません。

今回は、ずっと扶養内で働いていたけれども、様々な理由で扶養を外れた実例を3人ご紹介していきたいと思います。

扶養内の時にはどんな状況だったのか、どうして扶養を外れることにしたのか、扶養を外れてどうだったのかをご紹介していきたいと思います。

自分だったらどうかな?と是非一緒に考えてみてください。

動画で見る場合はこちら▼

事例1:40代後半の由里子さんの場合

お1人目は40代後半の由里子さんです。

夫の両親と同居で、お子さんが3人いらっしゃいます。
結婚して夫の両親と同居していましたが、両親が働いていたので、家のことは由里子さんが担ってずっと専業主婦をしていました。

義理のお母さんが働いているのがちょっと羨ましいと思えたり、夫の収入にムラがあるので家計管理がしにくかったり、やっぱり自分の好きなことのために使えるお金があるといいなということで、長男が10歳の時にパートに出ることにしました。
少しずつ勤務時間も増やしながら、年収120万円ぐらいの扶養内で勤務をしていました。

扶養を外れたキッカケ

大学の費用とかの準備は進めていたんですが、子供たちがだんだん大きくなってきて、教育費などが自分が思っている以上にかかり、今の働き方で大丈夫なのかなって迷っていたそうです。

扶養内でいるためにいつも収入の上限を気にして、働けるのに仕事を断ったりしなければいけないということに関してもかなり疑問を感じていたそうなんです。

そんな時、由里子さんのお姉さんがご病気になって入院したそうですね。

お姉さんは会社員のお仕事だったので仕事を休んで傷病手当金を受給していました。それをみたとき「年齢が上がっていくにつれて病気になるリスクって上がっていくのに、自分は扶養内だから、もしこのままだったらこういう風になった時に何の保証もないんだな」と不安になったというのがあり、扶養を外れる決意をしたそうです。

扶養を外れてどうだったか

またご主人さんのお仕事がすごく大変だったそうなので、何かあって仕事を辞めた時に自分が社会保険に加入していれば子供を自分の扶養に入れることができるというのも後押しになったとのことでした。

扶養を外れることにした当初、「家のことができなくなるんじゃないか」と夫が乗り気ではない場面があったり、ご自身も、自分の生活リズムを掴むのに少し苦労したっていうこともあったそうです。
ただ、メリハリをつけて生活できるようになって収入も安定していったので、扶養を外れことは後悔していないとのことです。

扶養内でいる時はいつも時間とか金額を気にしていたそうですが、今は堂々と「自分はちゃんと働いている」と言えるようになったっていうのも良かったとのことです。

今月収20万円ぐらいで働いていて、さらにこの後試験と研修を受けてボーナスや退職金も出る正社員を目指しているということです。

先日も、家族旅行のために残業などの仕事を引き受けて「稼げる時に稼ぎます!」なんていう風におっしゃっていました。

社会保険に加入するとどうしても「(税金や社会保険を)取られる」ということばっかり考えてしまうけれど、万が一の保障もあるし年金も増えるし、家族に対しても安心感を与えることができる。

ママ美
扶養内にとどまるために、自分で自分の限界っていうのを決めない方がいいと思います

と彼女はおっしゃっていました。

事例2:間もなく50代になる真希子さんの場合

2人目は間もなく50代になる真希子さんです。

結婚後、夫の転勤についていったり、夫がそもそもお仕事がかなり多忙でした。
そのため共働きをすることがそもそも難しくて、ずっと専業主婦で家庭のことに専念していました。

ただ、自分が知らない土地であったりとか、知り合いもいない中、すごく孤独感とか閉塞感みたいなものがあったとのこと。
短い時間などでも働くことができて社会と繋がれたらいいのになとずっと思っていたそうです。

夫の収入で暮らすのに全く困っていなかったので、子供が小さい時は外で働くってことはほとんど考えていなかったとのことでした。

下の子が小学生になり、時間的なゆとりもできたことでパートに出ることにしたそうなんですね。

当時は月に7万円ぐらいで働いていました。
夫の会社に扶養手当があり、それが月に2万円と結構大きかったので、扶養を外れて働くなんていうことは考えたこともなかったそうです。

そのため、時間とかお給料を調整して働くということには何の疑問も持たずにいたそうです。

扶養を外れたキッカケ

そんなまき子さんがどうして扶養を外れようかと考えたかっていうのは、きっかけが3つありました。

1つ目は、一緒に家計の見直しをした時に、ずっとこのまま専業主婦で行った場合の年金の少なさに驚いたということ。

今ゆとりがない暮らしなわけじゃないけれども、このゆとりを老後もずっと持って暮らそうと思った時に、年金を増やすっていう方法があるっていうことを知りました。そこで厚生年金に加入するっていう選択肢があるんだってことに気づいたそうです。

2つ目は、子供たちに手がかからなくなってきて、もっと働けるのにわざわざ時間を抑えなきゃいけないってことに納得がいかなかったこと。

そして3つ目は、今の生活に困っているわけではないからこそ、仮に扶養を外れて今少し手取りが減ったとしても、万が一の保障や老後の年金が増えてゆとりが増える方がいいと思ったからだそうなんですよね。

そして、パート先からももっと働いてくれないかという要望があって、扶養を外れる決意をしたそうです。

仕事の内容や責任のバランスなどを考えると、この仕事で正社員になることはあんまり考えていないということで、今は時給の契約でフルタイムで働いて月収14万円ぐらいで働いているそうです。社会保険料を払ったとしても扶養内の時よりは手取りは増えています。

扶養を外れてどうだったか

元々、夫は扶養を外れてまで働くことに前向きではなくて、あんまり協力的ではなかったようです。
扶養を外れた当初は家のことを、これまでと変わらずするというのがちょっと大変だったそうなんですが、今は妻が外で働くことに抵抗はなく、家族みんなが工夫しながら家庭のことを回しているとのことです。

収入とか年金が増えていくのは嬉しいし、子供たちにも自分が働いて社会保険料とか税金を納めて堂々と働く姿を見せられてよかったということですね。

ママ美
仕事は確かに大変なこともあるけれども、社会に貢献しながら楽しく働くっていう、また夫とは違う社会人像っていうのを見せられることで、自分に自信が持てて、自己肯定感が高まりました

とおっしゃっていました。

事例3:社保に入れない晴子さんの場合

社会保険に入れないのに扶養を外れるのは損だよね、と言われがちな働き方を選んだ晴子さんをご紹介いたします。

3人目のお子さんが幼稚園に入る頃に個人の士業の事務所でパートを始めた晴子さん。

夫は海外転勤があるような忙しいお仕事をしている中、少しずつパートの時間を伸ばして最終的には130万円未満の働き方で扶養内という形にしていました。

扶養を外れたキッカケ

1番下の子供が10歳ぐらいの頃に夫が転職をし、時間とか心にも少しゆとりができてきた頃、パート先から「もっと働くことができないですか」と勤務時間を増やして欲しいという要望があったそうです。

上の子たちももう結構大きくなってきたので「今自分に必要なのは、子供にかける手よりお金」だっていう状況になってきたそうなんです。
ただ、勤務先が社会保険がない個人の事務所だったので、夫の扶養を外れても厚生年金とか健康保険に入ることができなかったんです。

支払いは増えるのに受け取りが増えないから損だよ、と言われるような働き方です。

そこではる子さんと一緒に「では時給がどのくらいだったら、仮に全額自己負担で国民健康保険や国民年金を払っても割に合うと感じられるか?」というのを一緒に計算しました。

それを勤務先と交渉して折り合いがついたので、扶養を外れるということになりました。

扶養を外れてどうだったか

厚生年金や健康保険ではないので、時給が上がったとしても老後の年金や万が一の保障が増えないという意味では、痛手に感じることもあります。
ただ、やはり扶養の上限というのを気にせずに働けるということで、気持ちの面ではずっと楽になったそうです。

以前は勤務先の人がボーナスを出してくれようとしたとしても、扶養を超えないようにしなければなりませんでした。
また、会社に貢献しても時給を上げてもらうと今度は働く時間を減らさなければいけなくて、会社が困ってしまうという悪循環というのもなくすことができました。

ママ美
自分がお金に困っているわけではなかったですが、自分で稼いだお金で自分のために使うというのはやはり気持ちが全く違う

とのことです。

今は社会保険ではないけれども、長い時間働くということに自分と家族が慣れたら、フルタイムで社会保険に加入できる会社への転職もゆくゆくは検討していいかもしれないと考えているそうです。

扶養を外れる理由はお金だけじゃない

いかがでしたでしょうか?

扶養でいた理由、扶養を外れることにした理由、もしかしたら思い当たることがあったかもしれません。

働き方も扶養を外れるきっかけも人それぞれですが、扶養を外れる理由は必ずしも手取りだけではないということですよね。

働き方を変えるというのは簡単なことではありません。
3人とも慣れるまで大変だと思ったこともあったかと思います。

彼女たち以外にも色々な人にお話を聞いていますが、それでも多くの人が様々な理由から扶養を超える決断をして良かったと言っています。

もちろん扶養を抜けて働くことだけが正解ではありませんが、もし迷っているんだったらこれらの話も参考に、これからの自分の働き方を考えてみてください。

扶養を外れると自分や夫の手取りがどれくらいになるかや、どんなメリットやデメリットを想定しておけばいいかなど、一緒に考えたいときはぜひご相談ください。
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