「株式投資で利益が出ると扶養から外れてしまう」
そんな話を聞いたことはありませんか?
最近は新NISAのスタートもあり、投資を始める人が増えています。
その一方で、「投資の利益が出たら扶養に影響するの?」「配当金や売却益はどう扱われるの?」といった疑問を持つ方も少なくありません。
今回は、投資と扶養の関係について解説します。
実は扶養には「税金上の扶養」と「社会保険上の扶養」の2種類があり、それぞれルールが異なります。
株式投資の利益がどのように扱われるのか、順番に確認していきましょう。
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税金上の扶養
妻の収入や所得が一定以下の場合、妻を扶養している夫は配偶者控除や配偶者特別控除などの税制上の優遇を受けることができます。
当然ながら、「扶養されている」と認められるためには所得の制限があります。
では、株式投資で利益が出た場合はどうなるのでしょうか。
株などの売買を証券会社の「特定口座(源泉徴収あり)」で行っている方は多いと思います。
この場合、利益が出ると証券会社が税金を差し引いたうえで納税まで行うため、その所得はそこで課税関係が完結します。
そのため、給与所得などと合算して税金上の扶養判定に含めなくてもよいというルールになっています。
つまり、
- 特定口座(源泉徴収あり)で運用している
- 給与収入などが扶養の範囲内に収まっている
というケースでは、株式投資で利益が出ても税金上の扶養から外れることは基本的にありません。
また、NISA口座で投資している場合は、そもそも利益が非課税です。
そのため、NISAで得た利益によって税金上の扶養を外れることもありません。
ただし、配当控除などを受けるために確定申告をした場合は話が変わることがあります。
申告内容によっては扶養判定に影響する場合もあるため注意が必要です。
とはいえ、一般的には株式投資によって税金上の扶養を外れるケースはそれほど多くありません。
本当に注意したいのは社会保険上の扶養
今回お伝えしたいのは、税金上の扶養ではなく社会保険上の扶養についてです。
いわゆる「130万円の壁」と呼ばれるものは、夫の社会保険の被扶養者として認定されるための基準です。
社会保険上の扶養判定では、
給与収入
年金収入
不動産収入
副業収入
事業収入
などを含めた恒常的な収入で判断されます。
基本的には継続的に得られる収入を対象とするため、一時的に発生した収入については対象外となることが多いとされています。
投資による収入については、配当金のように定期的に入ってくるものは収入として扱われる場合があります。
しかし調べてみると、健康保険組合によっては株式の売却益についても収入として判断するケースがあることが分かりました。
ただし、これはすべての健康保険組合で共通のルールではありません。
最終的な判断は、ご自身や配偶者が加入している健康保険組合によって異なります。
そのため、「株で利益が出たけれど扶養から外れるのか」という疑問については、加入している健康保険組合へ確認することが大切です。
株式投資の収入として何が含まれる?
複数の健康保険組合のルールを見ると、対象となる投資はかなり幅広いようです。
例えば、
投資信託
債券
FX
暗号資産(仮想通貨)
などの資産運用による収入が対象となっています。
単純に株式だけではなく、投資全般が対象になると考えておいた方がよいでしょう。
どの金額が収入とみなされる?
株式を売却した場合、収入としてみなされるのは一般的に売却益です。
つまり「売却価格-取得価格」で計算された利益部分が対象となります。
なお、売買手数料については差し引かないとしている健康保険組合もありました。
詳細な計算方法は組合ごとに異なるため、確認が必要です。
損失が出た場合はどうなる?
投資は必ず利益が出るとは限りません。損失が出ることもあります。
この場合は「収入なし」として扱われるケースが一般的です。
ただし、税金の計算で行うような損益通算はできません。
例えば、
- 給与収入から投資の損失を差し引く
- 過去の赤字と相殺する
といったことはできません。
あくまでその年の投資による利益だけで判断されるようです。
どうやって確認されるの?
確定申告をしている場合は、確定申告書・所得証明書などで確認されます。
では、確定申告をしていない特定口座(源泉徴収あり)の場合はどうでしょうか。
この場合でも、年間取引報告書の提出を求める健康保険組合があります。
つまり、
「特定口座だから申告していない」
↓
「だから社会保険の扶養にも影響しない」とは限らないということです。
どの期間で判定される?
社会保険上の扶養は、本来は今後1年間の見込み収入で判断するのが原則です。
しかし株式投資の収入については、確定申告書・年間取引報告書など税務関係の書類を基に判断するケースが多く、1月から12月までの実績で判定されるようです。
そして、その年の利益によって扶養基準を超えた場合は、翌年1月1日から扶養を外れるという扱いになります。
また新たに扶養認定を受ける場合も前年の投資収入が確認されます。
さらに、後から提出した書類によって基準超過が判明した場合には、前年にさかのぼって扶養認定が取り消されるケースもあるようです。
NISAはどう扱われる?
NISAについては、そもそも利益が非課税です。
また、通常は年間取引報告書も発行されません。
そのため、社会保険の扶養判定においても収入から除外される可能性が高いと考えられます。
ただし、健康保険組合によって運用が異なる可能性もあるため、最終的には確認が必要です。
相続で受け継いだ株式は例外になることも
相続で株式や投資信託を受け継ぐケースもあります。
この場合、一部の健康保険組合では、「相続した株式を一度にまとめて売却した場合」に限り、一時的な収入として扶養判定から除外するというルールを設けています。
ただし、
- 数回に分けて売却した場合
- 売却せず保有を継続している場合
については継続的な収入と判断されるケースもあります。相続した資産を処分する際は注意が必要です。
投資をしているだけで扶養を外れるわけではない
ここまで読むと、「投資をしていたら扶養を外れてしまうのでは?」と心配になるかもしれません。
しかし、今回の話はあくまで売却して利益が確定した場合の話です。
そもそも将来のためにNISAなどで積立投資を続けているだけであれば、売却していないため収入は発生していません。
投資をしていること自体が扶養から外れる理由になるわけではないので、その点は心配しなくても大丈夫でしょう。
まとめ
株式投資と扶養の関係は、「税金上の扶養」と「社会保険上の扶養」で考え方が異なります。
税金上の扶養については、特定口座(源泉徴収あり)やNISAで運用している限り、株の利益が直接影響するケースはそれほど多くありません。
一方で、社会保険上の扶養については、健康保険組合によって株式の売却益や配当金を収入として扱う場合があります。
ただし、ルールは健康保険組合ごとに異なります。
最終的な判断は加入している健康保険組合が行うため、気になる場合は一度ご自身の健康保険組合のホームページを確認したり、問い合わせたりしてみるとよいでしょう。
近年は投資をする人が増えているため、今後は扶養認定の際に投資収入を確認するケースも増えていくかもしれません。
投資をしている方は、一度ご自身の加入している健康保険のルールを確認してみてはいかがでしょうか。




