ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

iDeCo・NISA 子どもに関するお金

【2027年改正】こどもNISAは使ったほうがいい?向いている人・そうでない人

我が家の子供も下の子が中学生以上になり、いよいよ教育費もピークに向かって増えてきております。
複数の子供がいるとこのピーク期間がより長くなるので、早めに準備をしておいて、日々の生活や自分たちの老後資金に影響が出ないようにしておきたいですね。

子供がいる多くのご家庭にとって、教育費の準備は悩みの種だと思います。
以前は学資保険や貯金などを活用しているご家庭が多かったですが、最近はNISAの広がりによって積立投資を活用することも増えてきました。

今日は「2027年からのこどもNISAとの付き合い方」についてお話しします。

動画で見る方はこちらから▼

「ジュニアNISA制度」が廃止されて以降、NISA口座を開設できるのは18歳以上の成人のみとなっています。

「子供でもNISAを使えるようにしてほしい」という声が多く聞かれる中で、2027年からはNISAの対象が18歳未満にも拡大されることになりました(いわゆる「こどもNISA」)。

ただ、未成年が利用できるNISAは成人のNISAとは少し仕組みが異なります。
今回は18歳未満のNISA制度の概要と、利用が向いている人・そうでない人を確認していきましょう。

■ こどもNISA(18歳未満向けNISA)の制度概要

こどもNISAが気になっている方はすでに成人のNISAは利用していることがほとんどだと思いますので、一般的なNISA制度の基本的な説明は省略し、成人のNISAと比較しながら概要を見ていきましょう。

対象年齢

0歳から17歳までが対象です。

投資限度額

1年間に投資できる金額は「60万円」、投資できる最大金額(非課税保有限度額)は「600万円」までとなっています。
毎年60万円を投資していったら10年間で満額になる計算です。

※この600万円は投資の元本のことですので、運用によって700万円・800万円と増えたとしても、そのまま非課税で保有し続けることができます。

投資方法と購入可能商品

投資方法は「つみたて投資(積立)」に限定されています。

そのため、年間60万円の枠があるからといって一括投資をすることはできません。
お年玉や入学祝いなどをもらったタイミングでその都度投資することもできないため、そういったお金を回したい場合は一度どこかに貯めておき、そこから毎月積立投資をする形になります。

投資できる商品は、基本的に大人の「つみたて投資枠」で買えるものと同じ(※)です。

基本的には長期の資産形成に適していると考えられている一定の基準を満たした投資信託に限定されています。
証券会社や銀行によって取り扱っている商品自体が異なりますので、ラインナップを確認しておきましょう。

(※)ただし、金融機関によっては「こどもNISA専用」の商品などを用意し、成人のつみたて投資枠では買えない商品を提供するケースもあります。

引き出し制限(注意点)

こどもNISAは成人のNISAと違い、引き出し制限があることに注意が必要です。

子供が12歳になるまでは、災害時などの特例を除いて原則引き出すことができません。
12歳以降は、子供本人の同意のもとで教育費など子供のために使う場合に限って売却しての引き出しができるようになります。

18歳以降の扱い(成人NISAへの移行)

これは2023年までの旧ジュニアNISAとは違う新しい制度のポイントです。

旧ジュニアNISAは非課税期間が5年間でしたが、こどもNISAは子供が18歳になると「成人のつみたて投資枠」に自動的に移行され、それ以降も無期限で非課税保有を続けることができます。

ただし、すでにその時点でつみたて投資枠の一部(最大600万円分)を使っていることになるため、成人になってからNISAを始めた人のように新規で最大1,800万円の投資枠をもらえるわけではありません。

こどもNISAで600万円を使っていた場合、18歳以降に追加でできる投資額は残りの1,200万円となります。

■ 児童手当を「こどもNISA」で運用した場合のイメージ

教育費の準備として活用されることの多い「児童手当」をこどもNISAで運用した場合の試算イメージを見てみましょう。

児童手当は第1子・第2子の場合(生まれ月にもよりますが)総額で約240万円ほどになります。

預貯金(金利0.05%)で18年間積み立てた場合:約245万円
こどもNISAで年利3%で運用できた場合:約310万円
こどもNISAで年利5%で運用できた場合:約390万円

当然、これはあくまで理論値(試算)であり、実際にはその時々の経済や市場の影響を受けるため、右肩上がりに必ず増えるという保証はありません。
ただし、十分な時間が取れる場合は預貯金よりも増やせる可能性が出てくるということです。

■ こどもNISAの3つのメリット

こどもNISAにはこんなメリットが考えられます。

メリット1:子供名義で非課税投資ができる

ジュニアNISAがあった頃はまだ今ほど投資が広がっておらず、使い勝手も少し複雑だったため利用が進みませんでした。
しかし現在では「親名義とは分けて、子供自身の名義でしっかりと投資したい」という希望も多く聞かれます。
明確に口座を分けて管理・運用できるのはメリットです。

メリット2:教育資金の計画的な準備に使える

0歳から利用することができるため、大学進学資金などのまとまった教育費を計画的に準備するのに便利です。

期待リターンのある商品に早いうちからコツコツ積み立てていけば、預貯金だけで準備するよりも資産を増やせる可能性が高まります。

メリット3:子供の金融教育の機会になる

選べる商品は投資信託がメインなので、「子供が興味を持った特定の企業の株を買って応援投資する」といった使い方はできません。

しかし、投資信託の仕組みや預貯金との違いを親子で話し合ったり、「どこに投資しているのか」「なぜ評価額が増減するのか」「資産がどう推移しているか」を一緒に見守ることで、子供が経済や投資に興味を持つきっかけにできます。

説明する親の側にとっても理解を深める良い機会になります。

■ こどもNISAの3つの注意点

リターンが期待できる対象に非課税で投資できるという意味では、期待が高まる制度ではありますが、利用には注意点もあります。

注意点1:元本保証はない

預貯金と違って元本保証の商品はありません。

長期的に成長が期待できる株式主体の投資信託が中心となるため、市場の様子によって価格は常に変動します。
購入した時期や売却するタイミングによっては、投資元本を割り込む可能性があることを理解しておかなければなりません。

注意点2:短期で増やせるとは限らない

「教育費を少しでも増やすために投資で」と考える方もいるかもしれませんが、リスクを取って投資をしても短期間で必ず増えるわけではありません。

お子さんがすでに中高生の場合、18歳頃の大学進学時期までの運用期間が短すぎます。
期間が短いと投資のメリットを十分に活かせず、期待したリターンを得られない可能性があります。積立投資はそもそも短期で大きなリターンを得る手法ではありませんので、過度な期待は抱かないよう注意しましょう。

注意点3:12歳までの引き出し制限がある

成人のNISAはいつでも売却・引き出しが可能ですが、こどもNISAは12歳まで引き出し制限があります。

予定より早く何らかの理由でお金が必要になった場合でも手元に現金化して戻すことができないため、無理のない計画で金額を設定することが大切です。

■ こどもNISAの利用が向いている人・向いていない人

こどもNISAにはさまざまな魅力がありますが、必ずしもすべてのご家庭が利用したほうがいい制度というわけではありません。

【利用が向いている人の特徴】

家計に十分な余裕がある人

「子供のためのお金」と言っても、「親が用意してあげる教育資金」と「子供自身が将来自分で自由に使えるお金(子どもに渡すお金)」では意味合いが大きく異なります。

教育資金として使うのであれば親の判断で動かすことになるため、解約や現金化がしやすい「親名義のNISA」を使ったほうが利便性は高いです。

親のNISA枠(最大1,800万円×夫婦分)を使い切る予定で、さらに家計に十分な余力がある場合に、こどもNISAを活用して教育資金を準備するのが適しています。
余力がない段階でわざわざ子供名義にすると、かえって使い勝手が悪くなってしまうので注意しましょう。

先取り貯金が苦手な人

貯金は先取りするのが鉄則ですが、自分名義の口座だとつい使ってしまうという方は、こどもNISAに積み立ててしまうのも手です。

子供名義であることや12歳までの引き出し制限が良い意味での抑止力になり、目的外の引き出しを防ぐことで確実に投資を継続できます。
(※家計に無理がないことが大前提です)

資産の名義を分けて管理したい人

子供が複数いる場合や、親の資産と子供のために使う資産を混ぜたくない人も活用に向いています。

口座そのものが分かれているため、利用目的がシンプルで見やすく管理しやすいのは大きなメリットです。

■ まとめ

まもなくスタートするこどもNISAは、これまでできなかった「子供名義での非課税投資」ができるという意味で便利になる面もあります。

とはいえ、あくまで「投資」であり、引き出し制限などのルールもあるため、すべての人にとって有利とは限りません。

まずは「あえて子供名義でリスクのある投資をする必要があるのか?」という目的から整理し、ご家庭の状況に合わせて上手に活用してみてくださいね。

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