雇われているサラリーマンなのに、ずっと国民年金&国民健康保険。または個人事業主。サラリーマン感覚で大丈夫ですか?
今までは給料をもらっているのに自分で国民年金・国民健康保険を支払っていたので貯金がままならなかった。個人事業主として独立したので収入は増えたけど、老後はこのままで大丈夫か心配。夫に話をしようとすると「こんなに収入が増えたのに何が不満なんだ」「どれだけ働かせれば気が済むんだ」と言われてしまい、なかなか話し合いができない。
そんなご相談をいただきました。
楽観的なご主人としっかり話し合いをするためには、根拠のある数字を可視化して見せることできるとスムーズですね。
個別相談でご提案した相談実例をご紹介します。
ご相談事例
(オンラインでご相談に乗りました)
基本情報
A・A様(埼玉県川口市)
夫 40代前半 自営業
妻 40代前半 専従者(自営業の手伝い)
子ども 小2(男の子)・5歳(男の子)
現状の問題点
- 夫が独立してから収入が増え、財布のひもも緩んでしまっている気がする
- 我が家の『身の丈』がどれくらいなのか気になる
- ずっと家計簿見せているけれど「なんとかなるだろう」と夫が楽天的
- 自分ばかり家計のことを心配して空回りしている感じがする
家計改善のポイント
ご主人が今まで勤めていた会社から独立し、個人事業主として自営業になりました。そのため奥様は専従者給与を取っています。専従者給与とご主人が事業から家計に入れるお金を合わせると、サラリーマン時代よりはずっと収入は多くなったそうです。それまで全く貯金できなかったところ、ようやく家計も安定してきたとのこと。その分、今度は「どこまで使って大丈夫?」という不安を感じていらっしゃいました。
収入が増えているのに家計のことを心配していたら、ご主人とは「いくら稼いでくれば足りるんだ」と険悪になってしまいがち。
自営業ゆえの注意ポイント
自営業はサラリーマンとは全く違います。
自営業といっても法人ではなく個人事業主の場合はなおさらですね。どんなタイミングで法人化するのがいいのか・その理由、消費税の計算のこと、税理士さんとの付き合い方などをお話ししながら、サラリーマン時代とは違う部分について一緒に確認を行いました。
専従者給与を取るのと、外に働きに行くのとどちらがいいかというお話でしたが、専従者給与をもらっている場合は、原則としてご主人の事業に「専従」していることが条件になりますので、外に働きに出る場合は専従者給与を止める必要があります。そうなるとご主人の事業の経費が減って利益が増えるわけですから、どちらがいいのかは働きを決める前にしっかりと試算したいところです。
また、個人事業主の最大の不利なところは国民年金・国民健康保険に加入になるということです。保険料に対して受けられる制度が少ないので、そのあたりも違いを意識しておく必要があります。
教育費はゴールを設定し貯金額を決める
学資保険をお子様お二人にそれぞれかけていました。また児童手当もそっくり貯めているとのことでした。
あとは自分が出してあげたいと思う進路に対する教育費との差額を準備していく必要があります。文部科学省のデータをもとに教育費の上限設定をし、お子様が18歳になるまでの残り期間で割り戻し、月の貯蓄額を確認しました。
お子様それぞれあと400万円ずつ貯めたいとのことでしたので、ひと月当たり6万円弱の貯蓄ができれば、目標に達することができます。
0か100かではなく、どこまで親が出す予定があるのかを子どもとよく話し合い、上限を決めることで子供にも選択肢を見せて行く方が良いでしょう。
住宅ローンはこのままでよさそう
住宅ローンは利率も安く、残年数も(サラリーマンの一般的な)定年より前に支払い終わるように設定されていました。
繰り上げ返済をして早く終わらせることもできますが、短くすることは簡単でも引き延ばすのが難しいのが住宅ローンですから、ここに関しては無理をせずに予定通りの返済でよいのではないかとお伝えしています。
老後費用は公的年金問題がありシビア
老後資金に関しては、事業の方で小規模企業共済に加入するなど対策を始めていらっしゃいました。
しかし、問題は国民年金しかないことです。
サラリーマン時代も社会保険がなく、国民年金に加入だったそうなのです。お勤め先が厚生年金の強制適用事業所でなかったのか、もしかしたら昔ながらの会社で本来なら加入しなければいけないところをそのままにしてきてしまっていたのかはわかりません。いずれにしても、年金制度の1階部分しかないとすると、老後の年金はかなり少なくなります。あらかじめご自身で調べていただいた年金の試算額は「夫婦で約15万円」でした。
現状の生活と貯金・老後は不要になる支出、そして公的年金の見込みから試算したところ、ご相談者様の老後の暮らしには現状のままだと「月に20万円不足」する計算となりました。
月20万円→年間240万円。老後30年で7200万円の老後資産が必要です。自営業ですので退職金も自分で作らないとありませんので、早急な老後対策が必要だということが明らかになっています。
あまりにも金額が大きくなってしまったので、まずは5000万円の老後資産を目指すための貯蓄を目標と設定しています。
これらの貯金を反映して使える額が『身の丈』
家計の支出については普段からきちんと家計簿などで管理されていました。
その家計簿に「これからのために貯めるべきお金」と「特別支出」を反映するために、貯まる仕組みシートをお渡ししました。
貯まる仕組みシートにはこの2つがしっかり反映しています。
自営業であってもコンスタントに収入を家計に入れることができているので、その金額を固定給とし専従者給与も含めて貯まる仕組みをシミュレーションしました。
老後資金対策は時間を味方につけていく
教育費もまだ積み増していきたいとのことでしたが、それは絶対に必要になる老後資金を作っていく準備ができてからです。小規模企業共済に加えて、iDeCoやつみたてNISAを積極的に利用していただくご提案をしています。
国民年金の場合は、公的年金が少ないためiDeCoの利用枠はひと月68,000円と多くかけられるようになっています。事業で利益も出ていますので、小規模企業共済と同様に全額所得控除になるiDeCoはかなり有利にお使いいただけるはずです。
また、運用の知識を持ち、時間をかけて増やしていくことで、毎月積み立てる金額が予定より少なくても運用益でカバーできる可能性も大きくなります。
全く運用せず、預貯金で目標を達成しようとすると、ひと月に16万円の積立が必要な計算になりましたが、これを時間をかけて3%で運用できればひと月11万円で済みます。5%で運用できれば9万円程度で目標が達成できるのです。
プロではない私たちが資産運用をするための最大の味方は「時間」です。早く始めるほどたくさんの味方がいるわけですから、ぜひ早めに取り掛かっていただくことをお勧めいたしました。
家計の個別相談に参加してのご感想
もともときちんと管理できていたので、さらにそれをバージョンアップして安心していくために一緒に計算を行いました。
この個別相談に参加して、どうお感じになったのか生の声をいただいています。
▼ぜひこちらからご感想をご覧ください。 今の生活には困っていない。困っていないけど・・・本当にこのままでいいの?確かに前に比べたら収入は増えたけれど、支出も増えている・・・・「身の丈」に合った暮らしっ ...
説明しながら計算してくれて、こうやって順番に考えていけば数字が出るのか!と感心しました【個別相談のご感想】
身の丈を見える化することが、自分も夫も安心できる近道
これだけ使って大丈夫という金額がわかると、お金を使うときの罪悪感や不安はなくなります。そしてそれを数字でご主人にプレゼンテーションできることで、夫婦で情報や目標を共有することができます。
普段の家計簿には「未来のためのお金」が反映していません。
それでは「身の丈」を図るためには情報が足りないのです。いろいろな面から将来にわたって貯めなければいけないお金を計算し、それを反映して『貯まる仕組み』を作っていただきたいと思います。
家計の個別相談では参加者プレゼントとして「貯まる仕組みシート」を全員にお配りしています。
直接お会いしてお話しする場合も、オンラインでお話しする場合、どちらでもお渡ししています。
募集はメルマガが一番早いので、ぜひ登録して家計のお金と向き合ってくださいね。