ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

扶養に入る・外れる

パートを掛け持ちで106万円を超えても扶養内でいられますか?【相談事例】

パートの掛け持ちと社会保険の扶養についてご質問がありました。
色々な働き方が増えている昨今、ダブルワークというのも珍しくない働き方ですね。

今日お話しするのは「2か所で給料をもらうダブルワーク」についてのお話です。
給料以外の収入でのダブルワークは今日の話は当てはまりませんのでご注意ください。

質問:2か所でパート。扶養でいられますか?

こんなご相談をいただきました。

ママ美
現在A社、B社で掛け持ちでパートをしています。
両社とも101人以上の規模の会社です(※1)
収入は両方の会社で合わせて103万以内。
今まで103万円に収まるように年末に勤務調整をしてきましたが、今後はシフトを増やして120万円ぐらいの収入になる予定です。(A社70万円・B社50万円)
A社B社それぞれで106万を超えず総収入で130万を超えなければ、これまで通り社会保険の扶養に入っていられますか?

このご質問にお答えする前に、社会保険の扶養のルールについて確認しておきましょう。

社会保険の扶養

今回のご質問は「ダブルワークをしているときの、夫の社会保険の扶養はどうなるか」ということですね。

こうなったときにはまず、2つのチェックポイントを確認をします。

  1. パートの自分が社会保険に入る条件
  2. 夫の社会保険の扶養でいられる条件

です。

チェックポイント1:パート先で社会保険に加入するか?

パートが社会保険に入る条件は2パターンあります。

パターン1:社員の3/4程度働く
パターン2:101人以上の会社で、週20時間・年106万円(月88,000)以上働く

短い時間で働くパートの場合、その働く日数や時間が正社員の3/4を超えないと社会保険に加入することができません。

ですが、101人以上★社員がいる大きな会社でパートは別の条件があります。
「週20時間、月8.8万円(年106万円)」などの条件を満たすと、社会保険に加入することになります。(自分で選ぶのではなく「入る決まり」です。)

(★この101人という基準は2024年に51人に改正されます)

ご相談者さまのパート先はA社、B社ともに501人以上の会社とのことなので、もしどちらかで「週20時間・月8.8万円以上働く」働いていると社会保険に加入です。
ただ、多い方でも70万円とのことなので、今回のケースではどちらも社会保険加入の条件には当てはまらないようです。

こうなると、まず1つ目のチェックポイントとして「自分のパート先では社会保険には加入できない」と分かりました。

106万円の壁の決まりややQ&Aはこちらの記事でも書いています▼

それぞれの会社社会保険加入に該当するかどうかはこちらのチャートでチェックできます▼

チェックポイント2:夫の社会保険の扶養でいられるか?

2つ目のチェックポイントは、夫の社会保険の扶養者でいられる条件の確認です。

これは夫の会社の健康保険組合がルールを決めていますので、最終的な判断はそちらがすることになります。
ただ、一般的には「この先1年間の年収が130万円未満(月108,334円未満)」というところがほとんどです。

交通費も収入に含まれますので、交通費を含んで「ひと月に108,334円」を超えなければ扶養内でいられる可能性が高いでしょう。
この収入の条件に「1か所から」などの決まりはありませんので、ご相談者様のように2か所で働く場合はA・B社合わせての収入で判定になります。

チェックポイントの2つ目として、ご相談者様のこの先の見込み年収が合計120万円程度でしたら、健康保険の扶養でいられる条件を満たしていることになります。

回答:2か所パートでも扶養でいられる可能性が高いです

チェックポイント1から、ご相談者様ご自身はどちらの会社でも社会保険に加入できない。
チェックポイント2から、ご主人様の社会保険の扶養でいられる条件は満たしている。

となると、このケースでは2か所でダブルワークしていても扶養内でいられる可能性が高いです。
(厳密には最終判断は健康保険組合ですが、この例だと扶養から外れる可能性はかなり低いでしょう)

自分が社会保険に加入になる基準と夫の扶養でいられる基準に違いがあるので、そこを押さえることが大事です。

<番外>税金上の扶養

税金上では交通費を含まない額で「給与収入150万円まで」は扶養でいることが可能のため、両方のパート先の収入を合わせても120万円なら扶養でいられます。(配偶者控除または配偶者特別控除)

税制上の扶養は社会保険の扶養と違い「1月~12月までの結果」で判断されることに注意しましょう。

今後の注意点

ここからは余談ではありますが、このご相談者様が仮にA社で70万円・B社で70万円働いた場合年収は140万円となり、夫の扶養でいられる条件からは外れます。
ただし、A・B社ともに自分が社会保険加入する条件は満たしませんので、社会保険に入れない、かつ夫の扶養でもいられないということになります。

こうなると、自分で国民健康保険と国民年金に加入します。
国民健康保険は市町村、国民年金は住所地の管轄の年金事務所で手続きを行います(国民年金は市役所で手続きできることもあります)
社会保険と違って半分が事業主負担ということはなく、全額が自己負担になることに注意が必要です。

掛け持ちで年収180万円になったときの実際の手取り額のケーススタディはこちらの記事でも書いています。

働き方が多様化している中、複数で就業している場合の労災の適用など、まだ法令の整備が追い付いていない部分もあります。
扶養内でいるかどうかに関わらず、ダブルワークは気をつけたいところですね。

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