ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

iDeCo・NISA

専業主婦や扶養内パートはiDeCoとつみたてNISAどっちがおすすめですか?

あちこちで名前を聞くようになって、マネー雑誌以外の女性誌などでも取り上げられることの増えてきた「iDeCo」
有名になればなるほどいろんな人が色々なことをいうので、結局どうなの?と思うことも多いかもしれません。

今日はよくご相談をいただく中の一つ

ママ美
専業主婦や扶養内で働く人はiDeCoはやらない方がいいというのは本当ですか?
ママ美
扶養内だったらiDeCoとつみたてNISAとどっちがおすすめですか?

についてです。

結論から言えば「ケースバイケースです」としか言いようがないのですが、それでは納得できないと思うので、いくつかのヒントをご紹介していきます。

iDeCoをするのはなんのため?

iDeCo=節税という切り口で認識している人がとても多いように思います。
iDeCoが節税になる人が多いのは間違いがないですし、節税できる方法が少ない会社員にとっては確かに強い味方です。

ただ、金融機関があまりにも「節税を押して」周知しすぎているのではないか?それは間違った認識を広めてしまうし、結果として損失を与えることになりかねないと私は感じています。

そもそも、なんのためにiDeCoをやろうと思っているのでしょうか?

残念ながらiDeCoをやったからといって幸せになるわけでもなければモテるわけでも、美人になるわけでもありません。
なんかカッコイイ感じはするかもしれませんけどね。笑

改めて、iDeCoをやろうとしている目的はなんでしょう?
それを確認せずして、iDeCoが適しているかどうかを判別することなんてできっこありません。

節税ツールとしてならあまり意味がない

iDeCoを節税のためにしようと思っているのなら、そもそも税金を(少額しか)払っていない専業主婦や扶養内パートには意味がないことがほとんどです。

年収110万円で働いていれば年間の税金は所得税と住民税を合わせて2万円程度。それより収入が少なかったり、専業主婦だとしたら0です。
節税こそをリターンと考えるなら、途中で引きだすことのできないところにお金を置くことに対して、iDeCoはあまりにも少ないリターンです。

節税だから始めたいと思っているのなら、やめておいたほうがいいでしょう。
もちろん、つみたてNISAもです。こちらも掛けたときの節税はないのですから。

そう考えると、『主婦で節税できないからiDeCoではなくつみたてNISA』は少しおかしいことが分かりますね。
節税だけで見るのならどっちも意味がない、が答えのはずです。

おや、モヤっとしましたか?
ということは、「節税以外の何か」もお求めということですね?笑

増やしたいなら「なんのためのお金?」

節税したい、ではなく「増やしたい」「お金にも働いてほしい」と思うなら、次に考えなくてはいけないのは、「何に使う予定のお金?」ということです。

いいからとにかく増やしたい!と思うのかもしれませんが、実はそれって良くない考えです。

なぜなら

  • なんとなく貯めたお金はなんとなく無くなる
  • どれくらいのリスクをとれるかを確認しない投資は危険

だからです。

いくらのお金を、いつ、いくらにするのか?によって、どんな運用方法やどの程度のリスクをとるのかが違ってきます。

よくわからないけどとりあえず増やそう、と投資するということを、世の中では「ギャンブル」というのです(笑)

60歳より前に使うお金ならiDeCoは除外

iDeCoには決定的な縛りがあります。
それが「原則として60歳以降まで下ろすことができない」ということ。
あ、これを欠点だと早とちりしないでくださいね。

iDeCoとつみたてNISAはとかく並列で比べられてしまいがちですが、iDeCoは「じぶん年金」です。もちろん老後の生活費以外にも使い方はあるでしょうけれど、原則として60歳までは開かない鍵のかかった貯金箱です。

子供の教育資金や住宅のリフォーム、車の買換え・・・・・とにかく60歳より前に使うことが想定されるお金だとしたら、iDeCoに入れてはいけません。

絶対に必要になる老後資金を確保するなら

もし『老後資金のためのお金を貯めながら増やしたいのだ』というのだとしたら、掛けたときの節税はあくまで「オマケ」のはず。
節税にならないなら老後資金を貯めない!なんて話にはならないですし、老後のお金を老後まで貯めておいて不都合があることはまずないでしょう。

下ろせないことを極端に恐れる人がいますが、iDeCoに入れたお金をおろさないといけないほどの事象ってどんなことなんでしょうか?
死んでしまったらもちろん遺族が受け取れますし、障害を負ったら障害給付としての受け取りも可能です。

それ以外で「iDeCoからお金を出さないと直ちに困窮してしまう」としたら、それはそもそも家計の資産の配分がおかしいということ。増やすことを欲張って「守るお金」や「生活防衛費」の管理をおろそかにしているのではないでしょうか?

それこそ、”とりあえずiDeCoやつみたてNISAをやった方がいい”が招く問題かもしれません。

老後に送ると決めているお金なら「出せない」ことでむしろ良い意味で諦めも付き、長い目で資産を育てる覚悟が持てるという意味でもプラスに働く事が多いはずです。

「専業主婦」や「扶養内パート」は関係ない

老後資金は専業主婦や扶養内パートでも必要です。
夫もお金もいつまでもあると約束されているわけではありませんから。
むしろ、公的年金がとても少ないこの立場こそ「自分の年金」を作って行く必要性は高いはずです。

そう考えると、「専業主婦だから・扶養内だから」というのを基準に、iDeCoか?つみたてNISAか?というのを判断するのはあまり意味がないことがわかりますね。

結論:全員に当てはまる答えはありません

『専業主婦・扶養内だからiDeCoかつみたてNISAか?』という相談は、ここまで話した通り答えがありません。

節税が目的なら、どっちもおすすめしませんと答えます。

家計としてではなく自分の限られたヘソクリを少し運用してみたいなら、引きだしに制限が少なく、口座維持管理手数料のかからないつみたてNISAが始めやすいはずです。
主婦で老後の年金の少なさが心配だったり、離婚の可能性があるから今のうちに老後にお金を送っていきたいとなれば、iDeCo一択でしょう。

家計の詳しい状況を知らない相手にアドバイスを求めても、納得のいく答えは出ないのでないかなと思います。

無責任になら言いますよ「老後は絶対来るからiDeCoから!」
でもそれはあまりにも無責任で危険なアドバイスです。

 

とにかく始めれば何でもいいわけではなく、限られた資産を安全に増やしていきたいと考えるなら、面倒くさがらずに

  • 何のために始めようとしている?

をまず確認しましょう。

お金を貯めながら増やしたいと思うのなら、

  • いつの
  • なんのために
  • いくら

を確認しましょう。

それすらよくわからないのなら、先に家計を見直して計画を立てる方が先かもしれませんね。

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