ちまたで言われる、子どもひとり当たり1000万円は本当なのでしょうか?
教育がいくら必要かという議論は絶えず飛び交っていますね。
家計の相談に乗っていても「教育費はいくら用意すればいいでしょうか」という質問は絶えずいただきます。
今回は子どもの教育費1000万円問題を紐解きながら、教育費はいくらためればいいのかをお伝えしていきます。
「一人1000万円の教育費」の“教育費”ってそもそもなんでしょう。
あなたがここを見てくれているように『教育費はいくらかかる』と書いているWEBサイトはたくさんあります。
ちゃんと調べたいと思ったら、まずはしっかり根拠(データ)が明示されているものを読みましょう。
~らしいよ、~ぐらいだよ、~円は必要でしょう、は根拠になりません。
データは時として、何かを販売する人がうまく『魅せる』ためにも使われてしまいます。
たくさん罹ると思わせるような部分だけ抽出して「だからこの商品が必要ですよね?」と誘導されてしまうこともあるのです。
色々なところが色々な角度から調査しているものですので、自分でデータを見るときは出どころと調査人数、その時期については最低限確認したいですね。
いわゆる『教育費』は3つに分かれている
教育費のデータで有名なのは、文部科学省が2年に一度発表している「子供の学習費調査」です。
教育費というと学校に支払うような「絶対払うお金」というイメージですが、教育費という言葉には厳密な定義がありません。データによっては何を含んで「教育費」といっているかが変わってきますので、そのあたりもチェックするようにしましょう。
文部科学省調査の「教育費(学習費総額)」では、教育費は3つに分けて集計されています。
1:学校教育費
入学金や授業料、授業で使う教科書・用具
2:学校給食費
そのまま給食費。割合は低いです。
3:学校外活動費
塾・家庭教師・通信教育・学習机・習い事・お稽古など
小学校から高校までオール公立の場合の学習費総額は約476万円です。
(平成30年子どもの学習費調査)
内訳を見てみると、
- 小学校(6年)で約193万
- 中学校(3年)で約146万
- 高校 (3年)で約137万
となっています。
(別調査ですが)国公立大学が約537万円。これと合わせると1013万円です。
ひとり1000万円必要というのも、あながちズレた数字ではないですね。
これらの金額は必ず要する額ではない
上記の約1000万円、とりわけ高校までの476万円には、習い事や塾などのひようもふくまれています。
本当に通うのに必須な学校教育費と給食費だけで見ると小中高の12年で約203万円。
習い事や塾などの学校外費用が273万円。
いわゆる『教育費』のうちなんと6割が必ずしも必要でないものにかかっているのです。
例えば小学校6年生で見てみると、年間の教育費は37.1万円。ひと月にすると約31000円。兄弟が複数いるご家庭などでは負担に感じるかもしれません。
ですが、その内訳をみると学校教育費と給食費は年間12.9万円。ひと月にすると給食代を含めても10750円です。
1万円が学校代。2万円が習い事や塾。
そう考えると本当に「かかる」教育費は1万円で済むということです。これらのお金をわざわざ子ども小さいころから貯めておいて出すものではないはずです。
つまり、(特に高校までの)教育費の6割は「必要でかかった」教育費ではなく親や本人の意思で「かけた」教育費だったのですね。
優先して対策が必要なのは大学資金
このように考えてみると、特に小学校・中学校の教育費はかかるのではなく「かけて」いるご家庭が多いようです。つまり、かけるお金を減らす(節約の)余地はあるということです。
では、大学の費用はどうでしょうか?
大学の費用は国公立で約500万円、私立文系で667万円、私立理系で827万円となっています(日本政策金融公庫「教育費負担の実態」より)
この費用の内訳は、主に大学に納入する金額(入学金・授業料・滑り止めの入学金)です。
つまり、節約の余地がないのが大学費用です。
また、自宅から変える大学が物理的にない地域にお住まいだと、子どもが一人暮らしや寮生活をするための資金も必要になるかもしれません。
進学するとなると費用を抑えることが難しいのが大学資金ですから、こちらは早くから貯めて準備しておく必要があります。
大学のお金も親が出してあげようと思っているのなら、まずはその貯金を確実に確保しながら、それでもなお余力があれば「習いごと」を検討しましょう。習いごとにお金を割いてしまって大学資金が貯まらない様では本末転倒になってしまいます。
数字だけに踊らされて思考停止しなくても、何を大事にしたいかを考えながら全体の計画を練ることで、子どもが産まれたらすぐ準備に取り掛かれますね。
ワーキングマザーのための情報満載メルマガもご利用ください▼