ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

子どもに関するお金

奨学金を借りさせることは悪なのか?どう考える奨学金。

教育費は十分用意できていますか?

子どもには大学まで進学してほしいと思うなら、そのためのお金は準備できますか?

子供が生まれたら、急に目の前に現れる「教育費」という問題。
そして家計相談でもしばしば相談の中心になるのが教育費です。

近年、教育費は物価の上昇率以上に高くなっており、天井なしにかかるものとなってきています。

トータルで数千万かかる、いや300万円でいい、など色々な情報が飛び交ってはいますが、実際に用意することができそうもなければ『奨学金』という選択肢も視野に入れる必要が出てきます。

今回は、学資を用意するにあたって『奨学金』というのはどういう位置づけなのか考えてみます。

高校卒業後の進路について

お子さんは、大学に進学予定ですか?
まだまだそんなことを想定するような年齢ではないでしょうか?

年末に近づいたり、お子さんの誕生日が来ると「早いなぁ~もう○○かぁ」とつぶやいているようなら、
あっという間にその時は来ます。

高校卒業後に進学する割合は71.2%
(専門学校・短大除く)大学だけ見ても50%超
(学校基本調査-平成27年度 文部科学省)

そして大学の43.2%が定員割れ
少子化しているので当然の状況ですね。

とすると、
「信念をもって進学しないことを選ぶ(=高卒で就職する)」人以外は、ほとんどが進学すると思っておいたほうがいいのです。

よく、うちの子はバカだから大学なんて・・・・と謙遜するママは多いです。
ですが、すでに自分たちの時と違い、一部の進学校に通う子どもだけが大学に進学する時代ではないのです。

感覚として、アレ?と思うような子供でも大学に入れるのです。
(もちろん、学校を選ばなければですよ)

 

大学の費用は、
国公立で242万円
私立文系で386万円
私立理系で522万円
(私立大学等の平成26年度入学者に係る学生納付金等調査結果 文部科学省)

学費だけ見てみてもそれなりにまとまったお金がかかります。

それに対し、
公立の小中高の純然たる学費はそれほど多くなく、家計から十分に出すことができる金額です。

つまり、

早くから備えなければならないのは予備校と大学の費用だけなのです。

この金額を貯める仕組みに組み込んで自動で貯まるようにしておけば、あとは残りを自由に使ってもなにも焦ることはありません。

 

奨学金を借りることとは

前置きが長くなりましたが、

そのような貯める仕組みを創らず・貯めるための行動もせず

「うちは無理だから行きたかったら奨学金で行ってもらう」

という方もよく見かけます。

 

『奨学金』

聞こえはいいですが、れっきとした借金です。
大学の費用のうち約480万円(毎月10万)を有利子の奨学金で借りると、返済総額は650万円。

毎月26,000円を卒業から42歳まで(20年)払い続けるわけです。

今の家計から毎月26,000円払ってと言われたらどうですか?

 

・・・・困りますよね。

そういう借金を、

「親が子供に背負わせる」のが奨学金です。

 

奨学金を借りるのが悪いということではありません。

志があって、どうしても経済的に必要とする場合もある。
そんな時は、借りればいいのです。
そのための制度ですから。

 

でも、
子供の教育にはお金をかけてあげたい。自分がしてもらったように応援してあげたいと思うのなら、
お子さんが18歳になるまでの間、借金を背負わせない努力を優先することはできませんか?

どうしてもできないなら、本人が借金をしてでも通いたい・学びたい。
そんな気持ちを持たせてあげられますか?

奨学金がどういう仕組みなのか、どうやって返済していくのか、卒業して手に入れることができる収入に対してどの程度の割合なのか、きちんと教えてあげられますか?

そこまで考えたうえでの、奨学金であってほしいのです。

 

大学まで親が学費を出すべきなのか

じゃあ、何もかも犠牲にして貯金をはたいて進学させてあげればいいのかと言われると、それは違います。

子供が無事に手を離れた後は、自分たちが最後まで生きるための資金を用意しなければいけません。
教育費をかけすぎて、老後は貧困。
子供に援助をお願いするようでは、せっかく奨学金を避けてもなんの意味もなくなってしまいます。

教育を受けたメリットは子どもが享受するわけですから、収入を得る期間が短い親ではなく、本人が将来の自分がから前借りする意味で子供が奨学金を借りるのも選択肢に入れていいはずです。
問題になるのは「手を尽くさずに借りてしまう奨学金」だと思うのです。

年若く産んだ子でないのなら、教育費・老後費用の兼ね合いは今一番気をつけなければいけない項目です。

 

ママスマ・マネープログラムが提供するの『お金の5スマート』の一つ、
教育的:子供に選択肢のある人生を与えられるママになろう
というのは、金銭的なことだけではありません。

 

  • 勉強するということ
  • 勉強するのにはお金がかかるということ
  • 進学しない選択肢もあるということ
  • 親は”うちでの小づち”ではないこと

自分の人生を選択する力をつけてあげることも大きな柱のうちの一つです。

自分の家計をおろそかにして「なんとかなるさ」と、考えることをやめるのは、お金のあるなしにかかわらず「子供から選択のある人生を奪う」ことになりかねません。

 

子供が小さいなら、お金を貯めることで。
もう大きくなってしまったなら”親ができる範囲”を早くから伝えておくことで、子供に選択肢のある人生を与えてあげて欲しいと思います。

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