プチ確定申告
 ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

年末調整

【年末調整でできること・できないことは何?】確定申告と年末調整の関係

私は年末調整しかしていないけれど、ママ友や同僚が毎年確定申告をしているらしい。なんで?
そんな風に気になったことはありませんか?
『医療費』というキーワードを聞くものの、それがどういうことなのかはわからない。そんな状況かもしれません。
年末調整と確定申告の関係。年末調整でできないことについてご紹介いたします。

そのほか年末調整に関する記事はこちら:

【年末調整まとめ】令和6年:共働き家計のための年末調整の手順と書き方

年末調整で困っていることはないですか?会社から渡されたけど訳も分からず毎年出している方。もしかしたら税金損しているかもしれません。基本的な情報お伝えしています。一生使う大事な仕組みです。今まで考えたことがなかったなら今年こそ!家族と自分の税金を守ろう!

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年末調整は『プチ確定申告』です。

年末調整とは、「今年の税金今年のうちに計算・清算」という手続きです。

本来は自分で、税金を管轄する『税務署』に「ワタクシこんな収入がございます」が、「かくかくしかじかで大変ですので税金を負担する能力はこのくらいです」と自己申告して税金を確定させるのが『確定申告』です。(所得税は自己申告制の「申告納税方式」と国のルールで決まっています)

ですが、収入がある人が全員が一人ずつ確定申告するのは大変ですし国も処理が大変でパンクしてしまいます。
そのため、会社に属している人(給与を払っている場合)は給与を払っている人(会社)が取りまとめて報告することになっています。

そしてそのデータが、会社を通して税務署や市役所に届けられます。

 

というのが『年末調整』です。

確定申告は私たちが直接税務署にしますが、年末調整は会社が代理で税金の申告の手続きを代行しているということなんですね。

とはいえ会社の方としても代行できるのは限りがあります。
本人の事情を一人ひとり細かく確認し、責任をもって完全に代行することはできません。

そのため『うちで払った給料と、よくあるいくつかの項目だけは会社でやりましょう』ということになりました。

年末調整は、確定申告ほど項目は多くないけどそれで十分な人はそれで完結できる手続きです。よくあるものはカバーされているためです。
そのため、多くのサラリーマンは、年末調整という名の確定申告で済んでしまっています。

ただし「よくあるもの」からちょっと外れた項目に関しては、年末調整でできないものもあります。

年末調整でできないこと

手続きが複雑だったり、諸事情を提出して説明しないといけないものは会社で引き受けきれません。
確定申告でしか控除を受けることができないものもあります。

本当に幅広くありますが、代表的な例をいくつかあげてみます。

医療費控除

病院

妊娠・出産などで医療費が多くかかり、その機会に初めて医療費控除をしたという人も多くいます。

医療費が一定以上かかった →大変だから税金を安くしてあげましょう。
ということで、かかった医療費に応じて税金の計算の元から差し引くことができます。

年間にかかった医療費が10万円以下(もしくは所得の5%以下)の場合は「ちょっとしかない」と判断されてできません。年間10万円(もしくは所得の5%)を超えて医療費がかかった分だけ、税金計算の元から引いてもらえます。

なお、個人個人で集計するのではなく、一緒に暮らしている家族の場合はまとめて誰か一人から引いてもらうのでもOKです。
(夫に扶養されていない妻であっても、夫婦でまとめて夫の所得から控除を受けることができます)

医療費控除はよくあることではありますが、通院や入院などあまり人には知られたくない事情もあります。
代行する会社も、医療費の領収書などを全部チェックはし切れません。そのため、医療費控除は本人が確定申告で自分でするものなのです。

 

ふるさと納税などの寄付金控除

ふるさと納税

寄付した自治体に書類を提出すると、確定申告が不要になる制度(ワンストップ特例)もありますが、基本的には確定申告で処理する項目です。
ワンストップ特例の方が特別な手続きなんですね。

ワンストップ特例を申請していても、医療費控除やその他の理由で確定申告をする場合は、ワンストップ特例は取り消されます。
ふるさと納税の分も確定申告でちゃんと書かなくてはいけません。
確定申告は最終的に「上書き保存」で申告になることに注意しましょう。

 

雑損控除

自然災害


火事や地震で損害
を被ったり、泥棒に入られてお金を取られたなどの被害を受けた場合にできる手続きなどです。
大きな自然災害などがあった後は、市役所で「罹災(りさい)証明」を受けることができます。それらを使用して確定申告で控除を受けます。

さほど多くはないですが、万が一こういうことが起こった場合は税金を安くする手続きができるということは、頭の片隅で覚えておいてください。

 

このほかにも、住宅ローン控除(初年度)やそのほかの所得(事業所得・雑所得・不動産所得・ダブルワークの給料)の合算などがあります。
それらは年末調整ではできないので会社に出すのはやめておきましょう。

年末調整で申告できるのは、扶養家族の申告や生命保険など第三者からの証明書があるようなものがほとんどです。わからなかったら聞いてみてください。

それは確定申告で、と教えてもらえるはずです。

どうせ確定申告するから年末調整しないはNG!

収入がお給料だけで特殊な案件がない場合は年末調整でだいたいのことができます。
面倒くさがらずにちゃんと申告しましょうね。

また、「どうせ確定申告するから年末調整しなくてもいい」はルール違反です。

NOという女性

どうせ確定申告するから資料を出さないのは勝手ですが、それでも会社としては年末調整はしなくてはいけません
なので、要求された書類は必ず出しましょう。

年末調整の間違いを確定申告で訂正はOK!

年末調整はプチ確定申告。これで済む人はそれでおしまいでOKです。
ただ、年末調整をしたけれど、間に合わないものがあった・間違っていたなどが生じた場合は、あえて確定申告をしてください。

最終的な「確定」が確定申告ですので、年末調整の結果を踏まえて追加や訂正をするのは全く問題ありません。
年末調整で間に合わなかったからといってあきらめないでくださいね。

▼他にも年末調整でトクする知識はこちらです▼

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