2025年は大学生年代の年収の壁に大きな変更がありました。
2025年3月に決定したルールですが、通常は翌年から適用されるルールが、今回はさかのぼって2025年1月から適用になります。
この記事では、年間123万円以上アルバイトをする大学生を持つ親の年末調整の書き方について解説します。
重要ポイント
大学生の収入は雇われての「アルバイト」のみとします。
(業務委託、アフィリエイト、Youtube収入など、給与以外の収入は含みません)
この記事で言う「大学生」とは、2025年12月3日時点で18歳~22歳(平成15年1月2日生まれ~平成19年1月1日生まれ)のことを指します。
(早生まれや浪人・留年等でこの年齢以外の場合、大学生であっても該当しません)
【2025年新設】特定親族特別控除
一定以下の収入の子を養っている人は、税金の計算をするうえで「扶養控除」という優遇があります。
年末調整や確定申告のときに、養っている親がこの扶養控除を申請することで、親自身の税金を減らすことができます。
また、特にお金がかかることが多い大学生年代(18歳~22歳)の子(=特定親族)を養っているときは控除の金額が増え、より優遇を受けることができます。
この年代の控除のことを「特定親族特別控除」と言います。2025年から新しくできた制度です。
2024年までは大学生が103万円を超えて働いてしまうと、扶養控除を使えなくなり親の税金の優遇がなくなっていました。
これが、2025年から特定親族特別控除が新設されたことにより、年間150万円までのバイト収入ならこれまで通り親は税金の優遇をうけることができ、それを超えた場合でも188万円までは段階的に優遇を受けることができます。
大学生の子の稼ぎに合わせて控除が変わるため、親は年末調整ではそれを明らかにして会社に申告する必要があります。
親は年末調整でどう書けばいい?
親が、123万円以上の稼ぎのある大学生の子どもを税金上の扶養に入れる申告は「給与所得者の特定親族特別控除申告書」という部分に記入します。
用紙の右上に「基・配・特・所」と書かれてある用紙です。
この用紙の中段「給与所得者の特別控除申告書」の部分に大学生の情報を書きます。まずは名前や続柄、生年月日などを記入します。

その場合は扶養控除等(異動)申告書の【B】源泉控除対象扶養親族の欄に大学生の子の情報を記入しましょう。
▼123万円以下の子どもはこっちです
①大学生の子の「所得」を算出する
この用紙に記入するのは「所得」です。
所得は収入とは違います。収入から所得を自分で算出する必要があるので十分注意しましょう。
「1年間のバイト収入(※)-65万円」が所得」です。
(※)12月31日までに受け取るバイト代の見込みも含む
(※)通勤交通費は含まない
(※)複数でバイトをしている場合は合算する
例:年間のバイト代が129万円(129万円-65万円)=所得64万円
※特定親族特別控除が使える大学生のバイト「収入」は188万円まで。
ここで計算した金額を、右の赤枠の「特定親族の本年中の合計所得金額の見積額」の欄に記入します。
【参考】
②親が控除を受けられる金額を表に当てはめて記入する
大学生の所得の金額が分かったら、申告書の下段にある控除額の計算の欄の当てはまるところを探します。
例えば、所得が64万円(給与収入が129万円)だった場合、「58万円超85万円以下」に当てはまるため、控除額は「63万円」です。
その金額を、黒い太枠の「特定親族特別控除の額」に記入します。
これで記入は終了です。
この控除の額が、親の税金の計算をするときの「税金のかかる元」の金額から差し引かれます。
あとは通常通り、ほかに必要なことを例年通り記入し、会社に提出してください。

むしろ、年末までの収入の見込みがどれくらいなのか、子どもがよく把握できているかのほうが問題になるかもしれません。
また、収入の種類が「給与(アルバイト)出ない場合は、今回の計算式は当てはまりませんので、収入の種類に合わせてご自身で所得を把握するようにしてください。
大学生本人の税金はバイト先で年末調整をする
上記は「親の税金」を減らすために記入しましたが、大学生は大学生自身の税金を計算するために、バイト先で年末調整を行う必要があります。
(複数でバイトをしている場合、メインの1か所でのみ年末調整を行い、別のところのものと合わせて確定申告を行う)
大学生のバイト代が年間150万円以下の場合は、扶養控除等(異動)申告書の【C】欄、「勤労学生」のところにチェックを付け、忘れずに控除を受けるようにしましょう(住民税に影響が出ます)
早めに親子で確認が肝心!
用紙の記入自体はそれほど難しくはありませんが、「大学生の子どもがどんな働き方でどれくらい稼いでいるのか」がよくわかっていないと、親はもちろんのこと学生自身も正しく税金の手続きをすることができません。
これまでの「とにかく103万におさめておけば何もしなくていい」というわけにはいかなくなっています。
年末調整事務には締め切りもありますから、10月ぐらいにはこれまでの働き方と収入を把握し、11月にどのような働き方をするか決めて、年間の収入の見込みを考えましょう。その額によって手続きが変わってきます。
「思ったより働いてしまっていた」「手続きすれば払わなくて済んだ税金を払った」ということの無いように早めに親子で確認しておきたいですね。