ー この記事を書いた人 ー
ファイナンシャルプランナー 塚越菜々子

塚越 菜々子 「FPナナコの部屋」主宰

保険や金融商品を売らないファイナンシャルプランナー。日本FP協会認定CFP®。「働く女性のお金の不安を解消したい」思いで、主に共働き女性に公的制度や家計・投資などお金の話を伝えています。

所得税・住民税

地震・台風被害にあった場合に税金負担を軽くする救済制度

2019年10月11日~の台風19号で被害を受けた方に心よりお見舞い申し上げます。
一刻も早い安全の確保と復旧が進みますように。

自然災害による損害をなかったことにすることはできませんが、せめて少しでも経済的負担を減らせればと思います。

台風などの災害で被害を受けた場合に税金の負担を少なくすることができる制度をご紹介いたします。

まずは火災保険の「風災」「水災」の保障を確認

台風による被害があった場合は「火災保険」からの補填が受けられることはご存知の方が多いと思います。

身の安全を確保してから、被害状況を写真に残しておきましょう。スマートフォンなどのカメラで構いません。その後は保険会社(や代理店)に連絡を取り指示を仰いでいただければと思います。

同じ地域に被害が集中する自然災害は、保険の請求が集中し待ちが発生することがあります。非常事態に書類やデータの管理に気を割くのは大変かと思いますが、整理しておこうとは思わず、とにかくひとまとめにしておいてください。
要らなければ後で捨てればいいだけです。

飛来物が当たる・水没などにより、自動車に損害が出た場合などは自動車保険が使える場合があります。相談するだけでは等級に影響などは出ませんので、「無理かな」と思わずまずは確認してみてください。
他にも自分が加入している保険(共済)に特約(オプション)でこういった損害の補填がついていることもあります。

今回は幸いにも被害がなかった場合でも、このようなケースで保険が使えるのかどうか確認しておけるといいですね。

「雑損控除」で税金負担を減らせる場合も

火災保険で損害補填ができることが多いのはご存知の方が多いですが、実は『税金の負担を減らしてもらう』ことができる制度があります。

雑損控除(ざっそんこうじょ)という制度です。
今回のような「風水害など自然現象の異変による災害」は対象となります。

【損害の原因】
1. (1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
2. (2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
3. (3) 害虫などの生物による異常な災害
4. (4) 盗難
5. (5) 横領

No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
国税庁:タックスアンサー
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm

細かいルールは色々ありますが「医療費控除」をイメージしてください。
簡単に説明するとこのような感じになります。▼

1:被害額-(総所得×10%)
2:5万円を超える災害関連支出(※)

どちらか金額が高い方が、「税金を計算する元」から差し引かれます(所得控除)
※壊れたものの撤去費用なども含まれます。
※保険が下りた分は差し引きます。

確定申告で手続きをすればいいので慌てる必要はありません。
ただし、その手続きのために被害の額を証明する(撤去や修理費用)の明細は取っておく必要があります。

確定申告が必要です。書類の保管を!

この控除を受けるためには確定申告が必要です。

つまり、残念ながら自己申告制なのです。
誰かが「あなたは雑損控除が使えるよ」とは教えてくれません。

被害をなかったことにはできませんが、落ち着いたころに襲い掛かってくる金銭的負担を少しでも軽くできるかもしれません。

確定申告までの時間の猶予はまだあります。
必ず雑損控除が受けられるとは限りませんが、どうかこちらも資料だけは一つのファイルにまとめ取っておくようにしてください。

業者さんも地元の場合は、何も言わないでいると混乱の中明細が出ないかもしれません。いつどこで修理したか、明細と領収書などを発行してもらえるように声を掛けておきましょう。

雑損控除などについては、税理士法により個別の税金計算は禁止されていますが、もしFPとしてお手伝いできることがありましたらお声掛けくださいね。

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