一定の収入以上のご家庭の児童手当の特例給付をなくして、その財源を待機児童解消に充てるという案が決まったようです。
2022年10月から(目安)1200万円以上の収入の親がいる世帯では児童手当の特例給付がなくなります。
これに関しては言いたいことがモリモリモリモリ・・・・
でも今日はその話じゃないのでグッとこらえておきましょう。
「児童手当の特例給付」「支給額の基準も世帯合算で」というキーワードが飛び交っています。
今のところ(2021年2月現在)世帯合算とは言われていませんが、ゆくゆくは合算になっていきそうですね。
これからどう変更があるのかはわかりませんが、児童手当は「今どうなっている?」「わが家は所得制限と関係がありそうか?」ということをこの記事では確認しておきたいと思います。
児童手当は誰でも貰えるわけじゃない
まずは児童手当の基本について確認しておきましょう。
支給対象
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方
中学生までの子どもを育てている親に支給される手当が児童手当ですね。
誕生日までではなく「誕生日を迎えた次の3月末日まで」
だから、何月生まれかによってトータルで受け取れる児童手当の額が違ってきます。4月生まれは3月生まれより約1年分多く受け取れる計算ですね。(産まれてなければかからないコストもあるので、損得ってもんでもないかと思います)
支給時期・支給元
原則として年に3回。毎年6月、10月、2月に4カ月分が支給されます。
6月に支給されるのは「5・4・3・2月分」ということです。
現住所の市役所に届け出をして支給を受けますが、公務員は勤務先から手当が支給されます。
(※そのため公務員を退職する、公務員になるときは届け出が必要です。気を付けてね!)
支給額
支給額は年齢や兄妹の数によって違って決ます。こちらの図の通りです。
3歳までは15000円
3歳~小学生の間は10000円(※)第3子以降は15000円
中学生は10000円
ちなみに、1番目の子供・2番目の子供・3番目の子供というのは「18歳の年度末までの」という注釈がつきます。例えば3番目の子供が11歳だとしても、1番上の子が19歳になってしまうと、その3番目の子どは「(18歳までの子の中の)2番目の子」とカウントされるので、15000円になりません。
兄妹で歳の差があるとそんなこともあったりします。
所得制限があります
さて、知りたいのはそんな基本的なことではなく「うちはもらえるのか」「年収いくらまでもらえるのか」ということですよね。
では児童手当の所得制限についてお話を進めていきます。
まず、大原則として頭に入れておいてほしいのは「収入ではなく所得で判定」「収入の多い方の所得で判定」ということです。自分でどちらかを選ぶことはできません。
(だから経済的DVや夫婦別会計&不仲で児童手当が子どもの養育のために使えないなんて言うトラブルもあるんですけどね)
『父と母がともに養育している場合は、生計を維持する程度の高い父または母』
『所得は世帯合算ではなく、受給者(請求者)の所得のみが対象』
自治体によっては所得制限の表に収入も表示されていることがありますが収入はあくまで目安です。正確な数字は所得で判断しましょう。
所得制限に引っかかっても少しはもらえる
では、その所得制限に引っかかると児童手当が全くもらえないのかというと、そうではありません。
【特例給付】というものがあり5000円は支給されることになっています。
2021年2月現在、この特例給付の一部をなくそうと決まりました(年収がより高い世帯です)
また、今までは収入の多い方の一人の所得で判定していたものを、世帯で合算した数字で判断するという可能性も出ています。こちらに関してはまだ決定していません。
所得制限を判定する方法(会社員の場合)
ここでは収入が給料のみのケースについてお話しします。
所得制限を計算するための所得は「1月~12月の1年間」です。
(例えば、2019年の1月~12月の所得→2020年の6月~1年間の児童手当の支給の判定に使われるということです)
つまり、2021年6月からの児童手当には、2020年の年末調整の数字が使われることになります。
まずは扶養人数と制限額を確認
児童手当の所得制限は扶養の人数によって違ってきています。
38万円×扶養人数+622万円が所得制限の金額の計算式です。
★パートに出ている妻は「年収103万円以下」なら扶養人数にカウントされます
その上で、扶養の人数に応じて自分の制限額を確認しておきましょう。
(出典)https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/kosodate-kyoiku/oyakokenko/teate/teate/jite-limit.html
児童手当における自分の所得額を計算
所得制限に引っかかるかどうかは(収入が給与のみのときは)以下の数字を見て、それが自分の扶養の人数に応じた所得制限の額を超えていないかを確認します。
確定申告書や源泉徴収票の数字だけを見てパッと判別できないのがちょっと面倒なところです。
給与のみの人の場合は
源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」から「引けるもの」として決められた項目があれば引き、あとは一律8万円を引いた金額です。
ここで出た金額が扶養人数に応じた所得制限額を超えていたら特例給付となり、5000円の支給になります。
引けるものが意外と少ないことに驚きます。
税金の計算するときにはすごく大きい「社会保険料控除」は使えません。その代わり一律8万円というオマケみたいな数字が引けるだけ。
もちろん生命保険料控除・地震保険料控除などもダメです。住宅ローン控除・ふるさと納税などの税額控除も全く関係ありません。
事例で確認!パート妻と子ども2人の例
年収が950万円の会社員Aさんの事例で確認していきましょう。
Aさんはパート(103万円以内)の妻と16歳未満の子どもが2人います。扶養は3人ですから所得制限の額は736万円です。
Aさんの源泉徴収票はこの通りです。そして引けるものは何もないとしましょう。
給与所得控除後の金額が7,450,000です。引けるものは何もないのでここから一律に引かれる80,000円を引きます。
すると金額は737万円です。
所得制限額を超えてしまうのでAさんは特例給付になります(5000円)
余談:もしiDeCoをやっていたら
このAさん、残念ながら所得制限額を超えてしまうので児童手当は特例給付でしか受け取ることができませんが、もしiDeCoをやっていたら話が変わってきます。
iDeCoは【引けるもの】の中の「小規模企業共済等掛金控除」に該当します。(企業型の確定拠出年金のマッチング拠出もこちらに該当します)
例えばiDeCoを月に10000円していたとしたら、年間12万円。この金額が引けるものになりますから737万円-12万円=725万円となり、所得制限の額を下回ります。児童手当は通常通り受け取ることができますね。
自分の老後のためにiDeCoを通じで自分の老後に仕送りすることで、今の所得制限も引っかからずに済みます。
もちろん引けるものはほかにも「医療費控除」」や「雑損控除(災害や盗難などの被害)」もありますが、こちらはなかなか自分でコントロールすることができません。iDeCoも掛金に上限はあるので、どんな人も使えるワザではありませんが、所得制限ぎりぎりの時はこのiDeCoが強い味方になるかもしれませんね。
所得制限を確認する方法(事業・副業がある場合)
給与所得以外の所得があるときは、その所得によっていろいろと細かいです。特殊な人は自治体によく確認してください。
会社員+副業で雑所得や事業所得・あるいは事業所得・雑所得だけなどのケースは、上記の会社員の場合の、源泉徴収票の数字を確定申告書の所得の合計に置き換えてみてください。
株式譲渡所得(株を売った利益)、上場株式等の配当については、児童手当の所得制限を計算するときは見ないことになっています。
今後の改正に注目です
今後、児童手当の特例給付がなくなるとすると、所得制限を超えた場合は児童手当はゼロ。
年間12万円。10年で120万円。大きな影響がありますね。
また、所得制限の計算を「収入の多い方の人だけ」で見る方式から、世帯の合算の数字で見る可能性も出てきています。
もしかしたら、世帯合算にする場合は所得制限の金額が引きあがるなどの対応があるかもしれません。
子育てママに関係のあるルール改正の情報はメルマガ優先でお知らせしていきます。